気づかされた本当に大切なこと

「美咲さん……ごめんなさいね……」

目を覚ました義母は、ベッドの脇で結愛の手を引いて立っている美咲を見て、ポロポロと涙を流した。

「女なんて役に立たないって、ずっとそう教えられて生きてきたの。でも、いざという時に私を助けてくれたのは、美咲さんと結愛ちゃんだった……。健太もお父さんも、ただ騒ぐだけで何もできなかったのに……」

「ひどいこと言って、ごめんね。タオル、ありがとうね」

義母は結愛の小さな手を両手で包み込み、声を震わせた。その光景を見て、健太も義父も気まずそうに俯いていた。男だから、女だからという、凝り固まった価値観にわずかながらも風穴を開けた瞬間だった。

それからというもの、義実家からの待遇は劇的に変わった。結愛と大翔へのお祝いやおこづかいはきっちり同額になり、健太も「男の仕事」を言い訳にして家事や育児から逃げることをやめた。

長年染み付いた価値観は、そう簡単には変わらないかもしれない。それでも、結愛が「おばあちゃん、お手伝いする!」と声をかけ、義母が「ありがとうね」と目を細める姿を見ていると、少しずつでも前へ進んでいると感じられる。

お金の使い方は、そのまま人への愛情や敬意を表す。性別だけでつけられた理不尽な格差は、人の心を深くえぐる凶器にもなりかねない。美咲は、子どもたちが性別にとらわれず、のびのびと自分らしく生きられるよう、これからも適度な距離を保ちながら、この家族を見守っていこうと心に決めている。

※複数の事例から着想を得たフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。