パニックに陥る夫と義父

「おい、どうした! 大丈夫か!」

義父は大声を出すだけで、ただオロオロと周囲を歩き回る。健太も「どうしたらいい? 病院にいくか⁉」とパニックになり、まったく動けない。大翔に至っては、異様な雰囲気に怯えて火がついたように泣き叫ぶだけだった。

「お義父さん、落ち着いて! 健太、大翔を別の部屋へ連れて行って!」

美咲は瞬時に状況を判断し、迷わず119番通報をした。すると、美咲の腕の中で泣いていた結愛が、自らサッと立ち上がり、洗面所からタオルを濡らして持ってきたのだ。

「ママ、おばあちゃんのおでこ、冷たくするね」

10歳の結愛は、震える手で義母の汗を拭い、手を握って「大丈夫だよ」と声をかけ続けた。その小さな背中は、慌てふためくだけの男たちより、何倍も頼もしく見えた。

幸い、義母は軽い狭心症の発作であり、病院で処置を受けてその日のうちに落ち着きを取り戻した。病室のベッドで点滴を受ける義母の傍らには、すっかり疲れ果てて座り込む義父と健太の姿があった。