義母が孫を責めた理由

「宙人がやってるのを見てたら、私のほうがうまくできると思ったの。おばあちゃんだってまだまだできるって、ちょっといいところを見せたくて」

「それで自分から手を出したんですね」

「まさか転ぶなんて思わないじゃない」

しゅんと肩を落とす知子に、恵理はあきれた。

「お義母さんの気持ちは分かりました。でも、宙人を傷つけるようなことは二度とやめてください」

「……」

「それと、家のことを手伝いに来るのは今日で終わりにします。私もそろそろ限界なので。あ、治療費は返さなくて大丈夫です。宙人の託児代だと思うことにします」

「……」

知子はだんまりだったが、自分の非を正面から認めないまでも小さく丸まった背中は反省しているように見えたので、恵理もそれ以上は何も言わずにおいた。

 

   ◇

 

その日、幼稚園から帰宅した宙人は不安そうな顔をしていた。恵理は息子の前でひざを折って、改めて謝った。

「宙人、本当にごめんね。宙人は何も悪くないのに、怖い思いさせちゃったね」

「おばあちゃん、もう怒ってない?」

「怒ってないよ。おばあちゃんも、宙人のせいじゃないって分かってるから。それとね、もうママ毎日おばあちゃんの家にお手伝いには行かないから」

「ほんと?」

ぱっと宙人の顔が明るくなる。

「うん、もう行かない。その代わり、今度一緒にパパのお見舞い行かない? 宙人は退屈かもしれないけど……」

「行く! ぼく、パパに折り紙作ってあげる!」

「いいね。何作るの?」

「ヘラクレスオオカブト!」

「わあ、パパ喜ぶだろうね」

恵理は早速折り紙を取りに子ども部屋に駆け込む息子の背中を見て、思わず笑った。夕方のリビングには、久しぶりに宙人の弾んだ声が響いていた。

※複数の事例から着想を得たフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。