<前編のあらすじ>
三上健一さんは46歳のエンジニア。行ったこともない福井県のとある市役所から、封筒が届いたものの、「新手の詐欺」だと思ってずっと無視していました。
ところが、妹の理恵さんにも市役所から電話があり、自分たちが空き家の所有者である可能性があり、至急対応が必要なことを知りました。
「もしかして多額の解体費用を請求されるのでは」と心配になった健一さんでしたが、果たして……。
●前編:「今にも崩れそうな空き家の所有者」として多額の費用を請求されかけていた…役所からの手紙をずっと無視していた46歳エンジニア男性の悲劇
多額の解体費用を請求されるリスク
本来、相続人の死後に、財産の存在を知った場合、相続の開始を知った日から3ヶ月以内に財産を引き継ぐか、放棄するかを選択する必要があります。
もし相続の放棄を選択する場合、家庭裁判所で所定の手続きを行わなければなりません。
「もし相続放棄の手続きをしなかったら、どうなるんだろうか……」
健一さんは疑問に思いました。
結論から言うと、役所からの連絡を無視し続け、相続放棄の手続きを取らなかった場合、多額の解体費用を請求されるリスクがあります。
倒壊の危険性がある空き家が長年放置されている場合などには、行政が所有者に代わり強制的に空き家を撤去することがあります。これを「行政代執行」と言います。
もしこのような形で、行政主導の解体が行われてしまった場合、権利者は解体に要した工事費用の実費と事務手数料を請求されてしまいます。
建物の解体に要する費用は、一般的に100万円から500万円程度に及ぶとされます。つまり健一さんが福井県からの通知を無視し続けていたら、その支払い義務が生じていた可能性があるわけです。
支払わなかった場合、自身の財産を差し押さえられる可能性もあります。
また、危険な状態で放置されている空き家を、行政が「管理不全空家」と認定する場合がありますが、その際に固定資産税を増額されてしまうこともあります。