今期上期は増収増益、上方修正で事業増益へ転換 PERは14.36倍まで上昇
最後に全体の業績も確認しましょう。
キリンHDの25年12月期は、売上収益が前期比4.1%増、事業利益が同19.3%増となり、いずれも過去最高を更新しました。利益面では、先述したヘルスサイエンス事業の黒字化が寄与したほか、酒類事業や医薬事業の好調が貢献しています。また、構造改革といった一時費用もはく落したことから、最終利益は2.5倍に急増しました。
続く今期(26年12月期)は中間決算まで公表されています。上期累計の実績は売上収益が前年同期比7.2%増、事業利益は同36.1%増と、好調の継続が確認されました。また、ウイスキーの「フォアローゼズ」事業の売却益もあり、純利益は同92.5%増と大きく増えています。
さらに、通期の見通しは上方修正されました。中東情勢悪化に伴うコスト増を織り込んだ一方、医薬事業でアトピー性皮膚炎治療薬(ロカチンリマブ)の開発中止に伴う研究費用の減少や、豪ドル予想レートの修正によるプラスなどが反映され、事業利益は期首予想から180億円、純利益は同40億円上振れる見通しです。当初、事業利益は減益を予想していましたが、上方修正で増益の計画へ見直されています。
【業績予想(26年12月期)】
・売上収益:2兆4800億円(前期比+1.9%増、期首予想からの修正額ゼロ)
・事業利益:2530億円(同+0.5%増、+180億円)
・純利益:1600億円(同+8.4%増、+40億円)
※同第2四半期時点における同社の予想
出所:キリンHD 決算短信
上方修正では予想EPS(1株あたり純利益)も従来の193円から200円へ修正しました。足元の予想PERは14.36倍と、1年前の12.16倍から18.1%上昇しています。
なお、この期間に株価は27.5%上昇しました。株価上昇率はPER上昇率とEPS上昇率の掛け算に分解でき、今回の株価上昇に対するEPS上昇率の寄与は約8%と計算できます。
1年間の株価上昇の主因は、業績の伸び(EPS上昇率+8%)よりも、PERの拡大(PER上昇率+18.1%)、つまり市場評価の切り上がりによるものだと整理できます。ヘルスサイエンス事業を軸とした成長ストーリーが、業績以上に株価へ織り込まれているのかもしれません。今後は、その期待に見合う実績を積み上げられるかが問われそうです。
