赤字事業が一転「成長ドライバー」へ サプリ最大市場の北米を強化
ジェイミソンの買収はヘルスサイエンス事業の強化が狙いです。キリンHDの利益は酒類事業と医薬事業が柱で、ヘルスサイエンス事業は赤字が続いていました。しかし、同社はヘルスケア事業を「三本目の柱」と位置付けており、今後の成長を託す計画です。
ヘルスサイエンス事業は、主に協和発酵バイオと先述したファンケル、また23年に買収した豪ブラックモアズで構成されています。ただし協和発酵バイオは不採算事業を抱えており、その整理に費用がかさんだことから、ヘルスサイエンス事業は赤字となっていました。
しかし、協和発酵バイオの構造改革が一巡したことや、ファンケルとブラックモアズの貢献もあり、ヘルスサイエンス事業は25年12月期に黒字化を達成します。事業単体での黒字化は、19年の事業開始以来で初めてです。今期(26年12月期)からは「成長ステージ」に入ったという認識で、26年4月には海外消費者向け事業を統括する新会社(KHSI:キリンヘルスサイエンスインターナショナル)も設立しています。
【セグメント事業利益(25年12月期)】
・酒類:1354億円(前期比+9.1%)
・飲料:677億円(同+5.8%)
・医薬:1023億円(同+11.4%)
・ヘルスサイエンス:111億円(前期は109億円の赤字)
出所:キリンHD 決算短信
※事業利益…売上収益-(売上原価+販管費)
そして、今回買収を発表したジェイミソンは、カナダや米国でサプリメントを販売する企業です。25年12月期実績で売上高は8億2200万カナダドル(1カナダドル=113円で928億8600万円)、純利益は6200万カナダドル(同70億600万円)と、キリンHDのヘルスサイエンス事業と近い利益規模感を持っています。
キリンHDは、北米市場は細分化されており、単純に規模やシェアを追う戦略では難しいとの見方を持っていました。そこで、ジェイミソンが展開する特化型サプリメントのように、個別の健康課題に対応することが重要だと説明しています。今回の大型買収は、その考えを実行したものと考えられます。
北米は健康市場として世界最大級の市場です。キリンHDはすでにアジア・オセアニアでトップクラスの規模を持ちますが、さらに北米を強化し、もう一段の成長を目指す計画です。赤字が続いていたヘルスサイエンス事業は、一転して成長ドライバーへと変貌しようとしています。
