牧野亜矢さん(仮名)が家族で現在の家に引っ越してきた時、お隣にはおしゃれで上品な80代のおばあちゃまがひとりで暮らしていました。おばあちゃまとは頻繁に行き来をするようになり、当時5歳だったひとり娘の美央さんは孫のようにかわいがってもらったそうです。「お買い得物件でしたから、夫とは『これって当たりだよね。隣人も本当に素敵な人だし』とよく話していたものです」。

しかし、そんな生活は長くは続きませんでした。おばあちゃまの死をきっかけに、お隣は放置空き家になり、さらには、ヤミ民泊の舞台となり、牧野さん一家を悩ませることになったのです。「10年前、こんなふうになることが分かっていたら、どんなにお得な物件でも買わなかったと思う」と話す牧野さんに、数奇な運命をたどったお隣の家について話してもらいました。

〈牧野亜矢さんプロフィール〉

埼玉県在住
41歳
女性
会社員
会社員の夫、中学生の長女と3人暮らし
金融資産1200万円(世帯)

理想的な隣人と穏やかな日々の始まり

今の家に越してきてから間もなく10年になります。当時は長女の美央が5歳の誕生日を迎えたばかりでした。

隣の柴田家には80歳を過ぎたおばあちゃまがひとりで暮らしていました。おばあちゃまはいつも身ぎれいにしていて年齢を感じさせず、買い物から掃除、洗濯、食事の支度など、家事はすべて自分でこなしていました。美央のことを自分の孫のようにかわいがり、よく、手作りの惣菜やお菓子、庭で獲れた柿などを分けてくださいました。

趣味の書道やパッチワークを楽しみ、お友達と旅行に出かける姿を見て、私も将来はああいう素敵なシニアになりたいなと思ったものです。

しかし、不思議なことに、柴田家にはお盆休みにも、お正月にも、親族の方が姿を見せることはありませんでした。