断行の株主還元・事業整理が結実 巨額赤字から一転、最高益へ

足元の株価上昇はAIへの期待感も主導した面もありますが、中長期的には構造改革の進展も影響しているでしょう。THKは近年、資本収益性の向上に向けた取り組みを開始し、投資家の評価を集めているとみられます。

大きな転換点となったのが、ROE(自己資本利益率)10%超の早期実現を新しい経営方針に掲げたことです。THKは24年11月、同方針の実現に向け、利益の成長に加え自己資本のコントロールにも着手しました。必要な自己資本を3000億円程度と設定し、目標達成までDOE(自己資本配当率)8%を維持すると表明します。

この方針に従い、24年12月期は配当金を前期比3.2倍に引き上げました。さらに大型の自社株買い(当時の自己株式を除く発行済み株式数の最大16.31%)も実施しています。

資本効率の改革は事業ポートフォリオにも及びました。THKは主要事業の一つだった輸送機器事業で生産の終了といった改革を断行し、25年12月期には事業そのものを譲渡します。これに伴う特別損失により、THKは約700億円の最終赤字に転落しています。

不採算事業の整理は大きな痛みを伴ったものの、スピード感のある改革は効果も早く現れる見通しです。今期(26年12月期)は営業利益が継続事業ベースで前期比3.3倍に成長する計画で、純利益も国際会計基準に移行後で最高となる548億円を予想します。

THKの業績(2017年12月期~2026年12月期)
 
出所:THK 決算短信より著者作成
 

ROE10%超の早期実現を掲げた当時は、PBR(株価純資産倍率)が1倍を割れる状況でしたが、足元は同3.2倍と、市場での立ち位置は一変しました(26年8月17日終値)。構造改革で株価が上がりやすい下地ができてきたところ、AIによる追い風が吹き、現在の高い評価につながったとみられます。