妹の相続税を肩代わりすることに

それからちょうど8ヶ月ほど経った頃、新たな試練が健一さんを襲います。

理恵さんは破天荒で自由気ままな性格で知られていましたが、その理恵さんが唐突に「外国籍の男性と婚約したので、これからは海外で暮らすことにした」と言い残し、突然姿を消したのです。

健一さんは、行方をくらました理恵さんの捜索を試みましたが、結局の居場所はわからずじまいに。

問題は相続税の支払いでした。当初「健一さんと理恵さんの2人で折半して支払う」と取り決めていましたが、理恵さんは支払わずに海外に行ってしまったのです。

気づけば、相続税の申告期限が2ヶ月後に迫っていました。

「いつか理恵が日本に戻ってきたら、残り半分を支払ってくれるはず」

そう考えた健一は、理恵さんの相続税を泣く泣く肩代わりしました。

こうして健一さんは、もともと相続する気がなかった実家を相続することになったのですが、程なくして届いた固定資産税の納税通知書を見て、愕然としました。

「毎年この額を払い続けるのは、しんどすぎる。どうにかしないと……」

2人分を支払った相続税以外にも、物が散乱している実家の整理や、掃除や草むしり、冬には除雪も必要でした。

実家の修繕にも費用がかさんでいく。これから直面する費用負担や手間を思うと、健一さんの背筋は凍りついたのでした。

「これはやっていられない……」

そう思った健一さんは、相続した実家の売却を決断したのでした。

●健一さんは空き家をどう処理したのでしょうか。後編【「外国人と婚約する」と言いのこして行方不明に…「自由すぎる妹」のせいで裁判費用100万円を負担した「いい人すぎる長男」の後悔】では、相続した空き家の売却にかかわるトラブルを解説します。

※本記事に登場する人物の名前はすべて仮名です。

※プライバシー保護のため、事例内容に一部変更を加えています。