祖母との暮らしを守りたい観月

「1人にするわけじゃないよ。少し離れたところに住むってだけだ。気軽に帰ることもできるし、休日には買い物だって手伝える。だからそんな大げさに考える必要はないと思うけど」

「……分かるけど、でもおばあちゃんは私にとってたった1人の家族だし、おばあちゃんにとっても私はたった1人の家族なの。おばあちゃんがいてくれたから私は寂しい思いをしなくて済んだ。それなのに私がおばあちゃんを置いて出て行くのはできないよ……」

観月の言葉からは固い決意が感じられた。

「……じゃあ俺がそっちの実家に住まないといけないってことだよな? 結婚するにしても、依子さんと離ればなれはないんだろ?」

「……うん」

卓弘は観月に目を向けた。

「一緒に住むのが嫌だと俺は思ってないよ。でもそのことで、俺がいろいろと我慢をしなくちゃいけないというのは違うと思う」

「……どういうこと? まだ一緒に住んでないのに、なんで我慢する前提で話を進めるの?」

「そうなると分かってるから言ってるんだ。そんなに難しい予想でもないだろ。3人でストレスなく生活ができるようなルール作りをしないといけないな」

「まあ一緒に住むなら、そういうことは考えたほうがいいと思うけど……」

「よし。それなら俺がそっちに引っ越して、3人で済む方向で考えるよ」

観月は卓弘の目をじっと見ていた。卓弘は、それがこちらの気持ちを確かめるような視線のように感じた。

「……本当に?」

「ああ。ただし生活費のこととか、部屋の使い方を決めてからだ。俺の荷物を置く場所も必要だし、依子さんにもルールを守るように理解をしてもらわないと」

「……分かった。おばあちゃんには話をしておくよ」

観月の声も表情も硬かった。