レストランでも遭遇…女性二人組から受けた陰湿な嫌がらせ
その日は小学校の振替休日で平日だったせいか、私たちのような子連れは少なく、マダム系の女性や高齢者の方の姿が目立ちました。この女性たちもマダム系で淡い色のスーツにブランドバッグという上品なファッションでしたが、展覧会での態度はおよそその装いとは似つかないものでした。
私たちが目をつけられたのは、入館待ちの列で藍花と優衣ちゃんが熱心にゴッホの話をしていたことがきっかけでした。小学生の女の子がマチエール(材質感)がどうのこうのと専門用語を駆使していたのが耳障りだったのかもしれません。
しかし、そういう女性たちも少し前まで大声で自慢話をしていて、周囲から冷ややかな視線を向けられていたのです。
さらに、展覧会の看板作品である《夜のカフェテラス》を真正面から見るための列に並んで私たちに順番が回ってきた時は、写真を撮るのも忘れて作品に見入っていた藍花と優衣ちゃんを「いつまで見てんの、クソガキ」と追い払ったのだとか。
暴言に涙を流していた藍花を慰めようと、優衣ちゃん母子を誘って入った上野公園のレストランに入りました。注文を済ませ、ようやく藍花がいつもの元気を取り戻したと思ったら、なんと、隣の席にあの二人連れが案内されてきたのです。これには驚きました。
二人連れの方もすぐに私たちを認識したようです。ぎょろっとした目つきで藍花をにらんだ後、席に座るとおもむろに「子ども入店お断り」の話を始めました。確かにその頃、子どもの入店を禁止した飲食店の話題がネットで盛り上がっていて、「法律的には問題ない」「こだわりの強い店はそうすべき」といった賛成の声も上がってました。
とはいえ、私たちが入った店はレストランといってもカフェに近いカジュアルな業態で、中には未就学児を連れたお母さんらしき人の姿もありました。そんな店でわざわざ話す内容とは思えません。完全な嫌がらせです。
優衣ちゃんママが「どうする?」と目で合図を送ってきましたが、注文を取り消すわけにもいかず、私たちは押し黙ったまま、ひたすら運ばれてきたパンケーキを口に運び、そそくさと店を後にしました。パンケーキは藍花も私も大好物ですが、この時はふわふわの食感やクリームをじっくり味わう余裕もありませんでした。
帰りの地下鉄で藍花は「私たちが悪いわけじゃないのに、どうしてこそこそしなくちゃいけないの?」と不満そうでしたが、私も全く同感でした。
