幼少期から見られた弟の「異変」

母子三人の生活は厳しく学費もそれほどかけられないなか、節子さんは何とか短大を卒業。電機メーカーの下請け企業に事務員として就職しました。

今まで苦労をかけてきた母親の助けになりたい。

そう思った節子さんは就職した後もそのまま実家に住むことにしました。実家暮らしで特に寂しい思いをすることもなかったので、節子さんは恋愛に積極的になることはなく、結婚することもありませんでした。

一方、弟は小さい頃から勉強が苦手で成績は常に下の方。人との関わりもうまくいかず、クラスメイトとの人間関係もうまく築くことができませんでした。弟は高校を卒業した後、大学進学はせず就職もしなかったそうです。

実家に住みながら時々アルバイトをしていましたが、いずれも長続きしませんでした。どうやら弟は我慢がきかず、職場で不適切な態度をとってしまうようなのです。

例えば、コンビニの店内で小さな子どもが騒いでいたり、お年寄りが商品選びで遅い動作をしていたりすると、イライラして大きな舌打ちをしてしまう。お客さんから何か聞かれても聞こえていないそぶりをしてしまう。そのようなことで店長に注意されても「それが何か?」と不遜な態度をとってしまう。家に帰って来るとイライラした様子で「あ~疲れた。何であんな奴らの相手をしなくちゃいけないんだよ」と大声で不平不満を言う始末。

仕事にやりがいを見いだせず、少しでも嫌なことがあると辞めてしまう。そのようなことを繰り返していました。

弟はアルバイトで稼いだお金を家に入れることはなく、自分の趣味や旅行に使っていました。お金が無くなるとしぶしぶアルバイトを始める。そんな生活をしていました。

いつまでたっても自立した生活ができない弟に節子さんは苛立ちの気持ちを持つこともありました。それでも親子三人の生活は何とか成り立っていたので、節子さんは特に具体的な行動を起こすことはしませんでした。