高収入を得ている人ほど、将来も安泰とは限りません。
特に成果報酬型の仕事では、一時的に大きく稼げても、環境の変化ひとつで収入が急減することがあります。外資系生命保険会社でトップクラスの成績を誇っていた59歳の女性外交員もその一人でした。
年収2,000万円超を稼ぎながら、コロナ禍をきっかけに"戻入"(手数料の返還)と税金に苦しみ、気づけば借金生活へ……。その背景には、「稼ぐ力」と「お金を残す力」の大きな違いがありました。
「増える保険」と荒稼ぎしたトップ営業の転落
中村由紀子さん(59歳・仮名)は、外資系生命保険会社に勤めるベテラン外交員です。元々は証券会社出身で、20年以上にわたり富裕層や経営者向けの営業を行ってきました。
交流会や趣味のゴルフで高所得層との人脈を築くのが得意で、支社でも常にトップクラスの成績、年収は2000万円を超えることも珍しくありませんでした。
高級車に乗り、ブランドもののバッグを愛用、美容にも気をつかい還暦間近とは思えぬ見た目。クレジットカードはブラックカードを保有し、同業からは「成功した女性営業」の象徴のように見られていました。
しかし、その提案内容は、顧客の利益を考えたものとは到底言い難いものでした。
「ドル建ての方が円建てより増えます」
「保険料の一部が損金で節税ができます」
「外国株なら年利6%で回ります」
そんな言葉を並べ、保険本来の保障機能やコストについて十分に説明せず、"増える"ことばかりを強調し、為替リスクや保障に掛かる高額な手数料を十分理解しないまま契約しているケースが大多数だったのです。
顧客利益を無視した提案でも、営業成績が優秀であったため会社からは表彰され、周りからの賞賛で高い報酬だけでなく承認欲求も満たされていたのでした。
ところが、そんな中村さんを襲ったのが、2020年から始まったコロナ禍でした。