止まらない咳

翌朝、目を覚ますと喉の違和感が大きく咳が出てきた。前の晩は全然問題がなかったはずなのに、症状が重くなったように感じた。仕事も詰まっているし、熱がない以上休むこともできないので、成美はけだるさを感じながら出社した。

更衣室に入ると、同じ受付事務をしている後輩の陽奈が声をかけてきた。

「あれ、先輩もしかして花粉ですか?」

「え? なんで?」

「だって先輩がマスクしてくるなんて珍しいですから。今年はスギがやばいってニュースでもやってましたし」

陽奈の言葉で同じようなニュースを見たなと思い出した成美は、首を横に振って否定した。

「違うの。何でか知らないけど咳が止まらなくて。だから花粉症とかじゃないよ」

「ああ、そうなんですか。じゃあ風邪ですか?」

「うーん、それも違うと思う。熱はないからね。仕事中も咳が出るかも。ごめんね」

成美がそう言って手を合わせると陽奈は笑顔でうなずいた。

「分かりました。でも本当に体調が悪くなったら言ってくださいね」

陽奈の優しさに嬉しさを感じながら成美は制服へと着替えた。