シェア圧倒のオークション事業 1台20秒のスピード落札で好採算を実現

ユー・エス・エスが連続増配を実施できるのは、盤石な事業基盤が背景にあります。

ユー・エス・エスは、一般には中古車販売店「ラビット」の運営で知られますが、主力は中古車オークション事業です。オークションは、中古車の販売店やブローカーといった事業者が参加し、その出品時や成約・落札手数料が主な収益源となります。

強みは高い競争優位性です。総会員数は4.8万社を超えており、国内シェアは41.4%と、大手5社の合計(同30.4%)を圧倒しています。週平均で5万台を超える中古車が出品され、1台あたり20秒で成約するという高いスピード感で中古車の流通を支えています。

高スピードを実現するのがネットワーク投資です。ユー・エス・エスは、会場を専用回線で結ぶ「USSジャパン」や、インターネットを介して取引に参加できる「CIS情報サービス」といったオンラインサービスを構築しています。会員は会場の外部からでもオークションに参加でき、その落札比率は全体の過半を超えます。今後もネットワークへの投資は積み増す方針で、27年3月期までの3年間で基幹システムに50億円を投じる計画です。

会場外から取引できるサービスは採算性にも貢献します。インターネット経由の落札手数料は24年4月に引き上げたほか、25年4月にも値上げしました。オークション事業の営業利益率は以前から5割を超えますが、足元は6割を突破しています。

【セグメント売上高(25年3月期)】

・オートオークション:818億円(営業利益率:65.1%)
・中古自動車等買取販売:127億円(同2.2%)
・リサイクル:84億円(同6.4%)

出所:ユー・エス・エス 決算短信

全体の収益力も高く、連結営業利益率はおおむね50%前後を維持してきました。これは東証プライムの全産業7.21%やサービス業5.71%を圧倒する水準です(24年度)。このように、ユー・エス・エスの収益力は強く、それが同社の連続増配を支えています。

ユー・エス・エスの業績(2016年3月期~2025年3月期)
 
出所:ユー・エス・エス 決算短信より著者作成