収入、バランス、楽しさ…2700人が考える理想の仕事像

収入と自由時間についての考え方は人それぞれだが、どのような仕事であれば理想的だと考えている人が多いのだろうか。 

どのような仕事が理想的だと思うか(参考表)

 出所:「国民生活に関する世論調査(速報)」(内閣府)よりFinasee編集部作成

多くの人が考える理想の仕事像とはどんなものだろうか。調査結果によれば、最も回答率が高いのは「収入が安定している仕事」で61.6%。近年は雇用期間が限定された非正規雇用が増加。労働力に占める割合は2024年で36.8%と約3人に1人が非正規雇用だ。 そうした雇用の不安定化の背景もあり、安定した収入を希望する人は多いようだ。

次いで多いのは「私生活とバランスがとれる仕事」(54.9%)。育児休暇や介護休暇など企業側もワークライフバランスを意識して制度を拡充しつつある。

一方でメンタルヘルスの不調により退職や1カ月以上の休職を余儀なくされた人がいた事業所の割合は2023年から2024年の1年間で12.8%。5年前に比べて3.6ポイント増となっている 。4位に「健康を損なう心配がない仕事」(35.9%)が入っているように、健康経営を推進するうえではまだまだ改善の余地はありそうだ。

この傾向は変化しているのだろうか。過去5年間の推移を振り返ってみよう。 

どのような仕事が理想的だと思うか(参考表)

出所:「国民生活に関する世論調査(速報)」(内閣府)よりFinasee編集部作成(上位5項目抜粋)

2021年から2025年までの5年間で、理想の仕事像にはどのような変化があったのか。調査結果によれば、5年前と比較して最も割合が増加したのは「私生活とバランスがとれる仕事」(51.2%から54.9%、3.7ポイント増)。次いで「健康を損なう心配がない仕事」(33.7%から35.9%、2.2ポイント増)、「高い収入が得られる仕事」(19.5%から21.4%、1.9ポイント増)と続いた。

逆に減少が著しいのは「失業の心配がない仕事」(28.3%から25.5%、2.8ポイント減)。新型コロナウイルス感染症の終息で経済活動が本格的に再開したことで、飲食・旅行業などを中心に失業リスクが大きく後退したことも背景にあるのかもしれない。

このように理想の仕事像は収入の安定性をベースとしつつ、ここ5年間では生活や健康、収入を重視する人が増加する結果となった。人手不足にはネガティブなイメージもあるが、働き手にとっては希望の職種に就きやすいことや待遇改善など悪い話ばかりではない。自分の価値観や得意な分野を整理して、理想の仕事に近づけるようにキャリアプランを考えたいところだ。

●言いたいことも言えない世の中?と思っている人が気になるテーマは後編「ズバリ問う!「政府への要望ランキング」ベスト30、5年前から倍増で1位となった項目は?」にて詳しく解説している。

<調査概要> 調査名/「国民生活に関する世論調査」(速報) 調査主体/内閣府 調査時期/令和7年8月7日~9月14日 調査対象/全国18 歳以上の日本国籍を有する5000 人(回収数2729 人)調査方式/郵送法