もっと増やしたいのは収入?  それとも自由時間?

収入と自由時間、あなたはどちらが大事だろうか。生活や生き方などについて全国2700世帯から回答を得た「国民生活に関する世論調査(速報)」(内閣府、2025年9月26日公表)から収入と自由時間についての人々の考え方を見ていこう。

調査では「あなたは、収入と自由時間について、自由時間をもっと増やしたいと思いますか。それとも、収入をもっと増やしたいと思いますか」と聞いている。 

収入と自由時間についての考え方

出所:「国民生活に関する世論調査(速報)」(内閣府)

自由時間をもっと増やしたい 42.4%
収入をもっと増やしたい 53.9% 

もっと増やしたいのは収入と自由時間のどちらか。調査結果によれば、「自由時間をもっと増やしたい」(=「増やしたい」+「どちらかといえば増やしたい」)と回答した人の割合は42.4%。一方で「収入をもっと増やしたい」(=「どちらかといえば増やしたい」+「増やしたい」)は53.9%と半数を超えた。ただしいずれのグループも「どちらかといえば」と答える人が3分の2以上を占めている。

収入と自由時間の二者択一ではなく、双方の調和が鍵になるのかもしれない。個人の価値観やその時の状況にも左右されるので正解は一つではなく、今後とも究極の選択であり続けるだろう。

この傾向は変化しているのだろうか。過去5年間の推移を振り返ってみよう。 

収入と自由時間についての考え方(参考表) 

出所:「国民生活に関する世論調査(速報)」(内閣府)よりFinasee編集部作成

収入と自由時間について、2021年から2025年までの5年間の推移を見てみた。調査結果によれば「収入をもっと増やしたい」と回答した“収入派”は当初4年間で増加傾向(53.6%から55.9%、2.3ポイント増)だったが、2025年は前年比2.0ポイント減と急反発。逆に「自由時間をもっと増やしたい」と回答した“自由時間派”は当初4年間で減少傾向(41.6%から40.1%、1.5ポイント減)だったが、2025年は前年比2.3ポイント増で急上昇した。

背景の1つとして考えられるのは物価上昇。消費者物価指数(総合指数)は2022年4月に前年同月比で2%を超えた後、2023年1月には4.4%に達し、直近(2025年8月)も2.7%を維持している。 当初4年間の“収入派”の増加は、将来に不安を感じた人が収入増を志向するようになった可能性がある。

一方で人手不足などもあって賃上げ率も2023年には約30年ぶりに3%を上回る水準に。2024年、2025年と2年連続で5%を超える賃上げ率が続いたことで 、2025年は収入増の志向が一段落し、再び自由時間を優先する動きが出てきたのではないだろうか。