ドル指数の推移
2021年以降のドル指数のレンジの上から見た61.8%押しが約98でしたが、今週は96までドル安が進み、61.8%押しを明確に下抜けしました。チャート的には半値押しの次の節目がこの61.8%です。その次に76.4%押しもありますが、経験則上、ここはサポートとしては弱いことが多い為、ドルについては全戻し、つまり元々の安値である90をわずかに割ったぐらいの水準まで、あと数%ドル安が進む可能性を念頭に置く必要があります。
ユーロドル相場の分析
その際、ドル指数の約6割を占めるユーロドル相場が重要です。以前からお伝えしていた1.15の攻防は明確に抜けており、今週は1.18台に乗せる場面がありました。RSI(相対力指数)は70%を超えてユーロが買われすぎ、即ち売りシグナルが点灯していますが、例えばユーロドルが1.2や1.25に向かう大相場である場合、この買われすぎシグナルが点灯したまま相場が上昇していく可能性もあります。
ユーロについては2つのストーリーが考えられます。1つは、NATOがGDPに対して5%まで軍事関係の予算を拡大し、ドイツも3月に憲法を改正してまで財政拡張への道を開きました。即ち、安全保障をキーワードにしたユーロ圏の財政拡張です。これはユーロ圏の投資機会が増えることを意味します。実際、ドイツの軍事企業ラインメタルの株価が大幅に上昇していることに象徴されるように、ユーロ圏に投資資金が流れ込んでいる可能性があります。一方で、ユーロ圏は輸出依存度も高いので、ユーロが上がってくるとECBが黙っていないでしょう。ユーロ高を止めるために積極的な利下げを再開する可能性も出てくると思います。
―――――――――――――――――――――――――
「内田稔教授のマーケットトーク」はYouTubeからもご覧いただけます。