少しずつですが、日本においてFPの仕事が理解されつつあると実感しています。とはいえ、相談者の方の「あと一歩」がないことにより、適切なアドバイスができないことがあります。より適切なアドバイスを受けていただくためにFPとして何を伝えるべきかを考えてみました。

おなじみの「無料相談」の限界

FPというと保険を販売する人をイメージする人が多く、実際に何らかの集まりで自己紹介する際に「FPです」と言うと、「保険屋さんですか?」と聞かれることが多々あります。FPが認知されていない時代からFP業務に取り組んでいる私からすると、それだけ認知度が高まってきたことが実感できて嬉しい反面、保険屋さんだから相談料は不要、というように認知されていることに、残念な気持ちを抱きます。

「相談するだけだから、無料」。日本ではそのような認識を持つ人が少なくありません。

確かに、友達に恋愛や子育て、場合によっては嫁姑問題といった相談をするとき、もちろんお金はかかりませんよね。

しかし、離婚や相続で揉めて、弁護士に相談する場合はどうでしょうか? この場合は、所定の料金を支払うのではないでしょうか。法律問題はデリケートな部分を含んでいますし、プライバシーも守ってほしいところですから、当たり前ですよね。

実はFPも弁護士と同じなんです。弁護士は法律の知識を使ってサポートをしますが、私たちFPは法律ではなくお金の知識を使います。相談業務では相談者様の要望や目標を聞き、どのようにすれば夢や目標を実現できるのかを一緒に考え、サポートしていきます。

「お金を出すほどでもないけど……」「一般的にはどうなの?」と質問する人がいるのですが、私たちFPは、自分が学んだ知識を使って全力でサポートしています。お金がかからないと勝手に判断されては困りますし、一般論をいくらお話ししても、その人の役に立つとは到底思えませんので、お互いに納得のいく結果が得られにくくなります。

FPは無料であれ、有料であれ、手を抜かずに相談者様と真摯に向き合っています。ただ、無料の相談会では時間が限られたり、相談者様が詳細な資産状況の公開をためらうことにより、リアルなデータを得ることができず、中途半端な回答になってしまうことは少なくありません。

「お金のことはFPに相談する」という認識は広がってはいるものの、無料での相談となると、踏み込んだアドバイスをするだけのデータや材料が揃わないことも……。FPとして歯がゆい思いをすることも多々あります。

有料相談はハードルが高いと思いますが、無料でお答えできる内容との差を考えれば、ほんの小さな一歩です。FPに歩み寄り、思う存分FPを活用するためにも、ゆったりと時間を使える、有料相談を利用してほしいと思います。