現実が突きつけた厳しい選択

一方で、気になっていたのが、郷里で一人暮らしをしている母のことです。

父は私が中学生の時に病死し、以降は母が小さな定食屋を一人で切り盛りして私を東京の大学まで行かせてくれました。私が独立したのを見届けた後、コロナ禍を機に店を畳みましたが、今も「人とつながりを持っていたい」と自宅近くのスーパーのパートとして働いています。

母とは定期的にLINEのやり取りをしていますが、そこで最近、「人手不足で店長から頼まれてパートの時間を2時間増やした」と伝えてきました。

母はこの4月で68歳です。そんなに無理をして働かなくてもいいのにと思いつつ、ひょっとしたら生活費が足りないのではないかと心配になりました。

姉が高校の先輩と結婚して実家の近くに住んでいるので、こっそり母の様子を尋ねたところ、「最近はこっちでもモノの値段が上がっているから、年金だけではきついかもね」と言います。

その時に初めて、母が月額にして5万円ほどの年金しかもらっていないことを知りました。

父は国民年金しか加入していなかったので遺族年金は受け取れず、母自身の年金も、生活が苦しく保険料が未払いだった期間があるため満額は出ないのだそうです。

いくら田舎で一人暮らしといえ、たったの5万円では生活は相当厳しいでしょう。私が仕送りをした方がいいかもしれない。母と話し合う必要があると思いました。

正月休みは暦の上では9連休でしたが、業務の関係で年末ぎりぎりまで出社せざるを得なかったため、帰省することができませんでした。それもあって、1月末に亜里沙が自宅に戻った週末を利用して急遽、実家に戻ることにしました。

そして、久しぶりに帰った実家で、母の暮らしぶりを見て驚愕したのです。

●大西さんが久しぶりに帰った実家で見た母親の驚きの現状とは? 後編【「結婚はムリ」資産家令嬢の彼女と2年同棲の末…34歳男性に別れを決断させた「決定的な出来事」】で詳説します。

※プライバシー保護のため、内容を一部脚色しています。