発達障害の診断だけでは不十分…障害年金受給に必要なこと
筆者はさらに説明を続けることにしました。
「仮にご兄弟2人が障害基礎年金の2級を受給できたとすると、月額換算で14万6620円(2025年4月以降は14万9516円)になります。この金額であれば、お母様がパートを辞められてもその分をカバーすることができるでしょう」
「もし病院で発達障害と診断されたら、息子たちは障害基礎年金がもらえるのでしょうか?」
「障害基礎年金が出るかどうかは、発達障害の診断がついただけでは不十分です。その障害により『日常生活がどのくらい困難なのか?』『仕事をするうえでどのくらいの困難さを抱えているのか?』といったことを総合的にみて判断されるからです」
これを聞いた母親は鼻の付け根にしわを寄せました。
「診断がつくだけではダメなのですね……。一体どうすればよいのでしょうか」
「障害基礎年金が受給できそうなくらい症状が重いかどうかは、主に医師の作成する診断書とご本人または代理人が作成する病歴・就労状況等申立書の記載内容で判断されます。こちら側でできることは主に次の2つです」
■お子さんの日常生活の困難さをまとめた文書の作成
日常生活の困難さのエピソードは多ければ多いほど望ましいです。この文書を担当医に渡し、診断書の作成を依頼します。
■病歴・就労状況等申立書の作成
発達障害をお持ちの方の場合、病歴・就労状況等申立書は幼少期から現在までの状況をまとめるルールになっています。一般的に発達障害の特性は幼少期から現れるといわれているためです。病歴・就労状況等申立書には、当時の状況をできるだけ詳しく記載する必要があります。
「何だか難しそうですね……」
説明を聞いた母親は、さらに険しい表情になりました。