一生懸命働いたつもりがトラブルに…挫折経験から労働を拒否

大学卒業後、就職できなかった長男と次男はアルバイトをしていた時期があったそうです。しかし2人とも職場でトラブルを起こしてしまい長続きしませんでした。

長男はコンビニでアルバイトをしていましたが、仕事のやり方を覚えられない、仕事が遅い、接客でオロオロしてしまいクレームを受ける、といったことで上司から叱られ続け、嫌気がさして1カ月もたたないうちに辞めてしまいました。

長男は幼少期の頃から興味関心の無いことはほとんど頭の中に入らないため、学生時代から苦労してきたそうです。

次男は居酒屋でアルバイトをしていましたが、注文を聞き間違える、お客さんの料理や飲み物を違う卓に運んでしまう、といったことが頻繁に起こりました。その都度、先輩や店長から指導が入るのですが、次男は聞く耳を一切持ちませんでした。そっぽを向いてふてくされた顔をし、時には舌打ちをしてしまうこともあったそうです。その態度に激怒した先輩や店長から厳しく叱られることが続いたため、アルバイトは辞めてしまいました。

次男は幼少期から不注意でミスをすることが多く、また、場の空気を読んで適切な態度を取ることができなかったそうです。学生時代はクラスメイトとトラブルになることもよくあり、友人はほとんどできませんでした。

「一生懸命仕事をしているのに、なぜ自分だけが叱られるのか? 職場では嫌な思い出しかない」

長男も次男もそのようなことを母親に言い放ち、その後仕事をすることは一切ありませんでした。

父親は生前、大学を卒業しても仕事をせずに家の中にいる息子2人に腹を立て、大声で叱ったり、時にはつかみ合いの喧嘩をしたりすることもあったそうです。そのようなことで息子2人はそれぞれの自室に一日中ひきこもるようになり、家族とほとんど顔を合わせない生活を始めました。

そのような中、息子たちが20代後半の頃に父親は病気で急死してしまいました。

「これからの生活はどうなってしまうのか?」

あまりの急な出来事に、母親はパニックになってしまいました。そんな母親をよそに、息子たちはまるで他人事のような態度をとっていました。仕事をすることもなく、ひきこもる生活に変化はありませんでした。

「とにかく私が働いて何とかするしかない」

父親が亡くなった後、母親はがむしゃらに働くようになりました。