◆年末に売れ筋ランクを上げた国内株インデックスファンド
「ストック インデックス ファンド225」が前月の第7位から第4位にジャンプアップしたことは、2025年を考えるうえで無視できない変化といえるだろう。残念ながら、同ファンド以外に国内株ファンドは売れ筋トップ10に入っていないため、国内株への期待を感じさせる動きは、それほど大きなうねりにはなっていない。それでも、国内を代表する株価指数である「日経平均株価(日経225)」に連動するインデックスファンドを第4位に押し上げるほどに人気が戻ってきたのは、2025年の活躍期待が国内株にもあるということだろう。
大和証券のチーフテクニカルアナリスト兼シニアストラテジストの木野内栄治氏は、2025年の国内株式市場を展望して「晴れた日に永遠が見える 若返る日本」(同社グループYouTube公式チャンネル)という見方だ。IMF(国際通貨基金)等の試算による購買力平価が1ドル=100円前後に対し、実勢では150円台にあるドル円相場は大幅な円安状態にあり、輸出が一段と伸びることによって貿易収支は赤字から大きな改善が見込まれるという。「貿易で大きな利益を出していた1985年~90年の頃の日本に若返るのではないか」と見立てている。特に、トランプ政権による関税引き上げなどの議論が出てきている状況を踏まえれば、関税が引き上げられる前に駆け込み的に米国向けの輸出を実行しようという機運が高まり、今年の前半は米国向けの輸出が拡大すると見通し、日経平均株価は年央(7月頃)に「4万5000円程度」の高値を付けるという見方を示した。
一方、保護貿易的な政策を打ち出すとみられるトランプ新政権のもとで、どのような変化が出てくるかは予測が難しい。ただ、前回のトランプ政権で関税の引き上げなどを打ち出した際に米国の株式市場で「FANG相場」が盛り上がったように、それぞれの国において内需拡大に貢献するような「AIソリューション(AIを用いた課題解決サービス)」を提供する企業群に活躍期待が高まるという見方も紹介していた。
また、大和アセットマネジメントは2025年の国内株式市場の展望として「東証の『資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応』の要請や上場基準の厳格化などから、企業の株主還元積極化の動きが際立っています」とし、国内株式の価値向上に注目。さらに、「新NISAなどによる個人投資家資金の流入の継続も期待されます」と国内株式市場の底堅さを見通す。そのうえで、防衛関連、人手不足対応(自動運転、AI活用)、暗号資産など幅広い注目産業があるとみている。このような国内株式に強気に強気な見方が、年末の投信売れ筋にも反映されたものと考えられる。
執筆/ライター・記者 徳永 浩