三菱アセット・ブレインズがまとめた2024年11月の公募投信(ETF、DC専用、SMA専用、公社債投信除く)の新規設定ファンド数は18本と前月(30本)を大きく下回り、設定総額も約250億円と前月(約770億円)から大きく減少した。新規設定額ランキング(設定額は設定日の純資産額)でトップは、アセットマネジメントOneが設定した「ウエリントン・トータル・リターン債券ファンド(年1回・ヘッジなし)」の約59億円だったが、前月トップの「ニュートン・パワー・イノベーション・ファンド(ヘッジなし)」の設定額531億円のおおむね9分の1の水準だった。新規設定18本中に債券ファンドが13本を占めた。
◆新NISA対応の債券ファンド、人気挽回は?
新規設定額でトップになった「ウエリントン・トータル・リターン債券ファンド(年1回・ヘッジなし)」は、ドル建ての国債、社債、ハイイールド債、新興国債券などさまざまな債券の中から魅力的な債券を選んでポートフォリオを作る総合的な債券ファンドだ。第4位に「同(年4回・ヘッジなし)」がランクインしている。また、第2位の「フォントベル・世界割安債券ファンド(ヘッジなし/年1回決算型)」も新興国を含む世界の債券から割安で魅力的な債券を選択して投資する総合的な債券ファンドになっている。第3位に「同(ヘッジあり/年1回決算型)」、第6位に「同(ヘッジなし/年4回決算型)」、第9位に「同(ヘッジあり/年4回決算型)」が入っている。
これらは、世界的なインフレ警戒で急速に引き上げられた各国の政策金利が利下げによって正常化に向かう機会をとらえて、債券価格の上昇を運用収益に結び付けようという債券運用の魅力を訴えるファンドだ。三菱アセット・ブレインズは、「債券ファンドにはリーマンショック以降続いた低金利環境で、注目が集まりづらかったが、近年の金利上昇で利回りが再び魅力的な水準となっていることから、販売会社の営業戦略見直しの中で、債券ファンドのラインアップ拡充を企図した新規設定が増えているものと考えられる」と分析している。
ただ、これら債券ファンドは、「ウエリントン・トータル・リターン債券ファンド」は年1回決算型、年4回決算型ともに新NISAの成長投資枠の対象であり、「フォントベル・世界割安債券ファンド」は新NISAの対象ファンドではないが、年1回決算型が売れ筋の中心になるなど、中長期の投資対象として考えられていることは確かだ。設定額の規模は、まだ株式ファンドと比べると見劣りするものの、今後、パフォーマンスや人気の面で挽回していくものか注目される。