楽天証券の投信売れ筋ランキングの2024年11月のトップ2は前月と同様に「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」、「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」だった。第3位に「楽天・プラス・S&P500インデックス・ファンド」がランクアップし、前月3位の「楽天・高配当株式・米国ファンド(四半期決算型)」は第4位に後退した。また、前月第9位だった「iFreeNEXT FANG+インデックス」が第8位に上昇し、トップ10圏外から「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信Dコース毎月決算型(為替ヘッジなし)予想分配金提示型」が第10位に食い込んだ。

 

◆「eMAXIS Slim」よりも低コストの「楽天・プラス」が1、2位を狙う!?

楽天証券の売れ筋ランキングのトップ10は、大半がインデックスファンドになっている。しかも、「全世界株式インデックス」連動のファンドが3銘柄、「S&P500」連動のファンドが2銘柄あり、この2つのインデックスに連動するインデックスファンドが半分を占めている。それが長らくトップ2をも独占するということにもなっている。

インデックスファンドに人気があるのは、やはり「運用コスト」を低く抑えたいというニーズが強いからだろう。投資するにあたって、運用成績の良し悪しを事前に正確に見通すことは難しいが、「運用コスト」は目論見書等で開示されているので、低コストのファンドを選んで購入することができる。その「運用コスト(主に信託報酬)」は、多くのアクティブファンドが「年1%超」であることに対し、インデックスファンドでは人気の高いファンドなら「年0.1%以下」が主流になっている。インデックスファンドのコストは、アクティブファンドの10分の1以下だ。コストを重視する投資家がインデックスファンドを好むのは圧倒的なコストの差があるためだろう。

ただ、インデックスファンドといっても「コスト」がすべてではない。ランキングのトップ2である「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」と「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」は、それぞれ「S&P500」と「全世界株式」のインデックスファンドの中で、コストが最も低いファンドではない。「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」の信託報酬は年0.0926%程度になっているが、「楽天・プラス・S&P500インデックス・ファンド」は年0.077%だ。「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」は年0.0575%程度だが、「楽天・プラス・オールカントリー株式インデックス・ファンド」は年0.0561%だ。「楽天・プラス」シリーズは、同一の株価指数に連動するインデックスファンドの中で、最も低いコストにあるファンドのブランドとして設定されている。しかも、保有残高に応じてポイントがもらえる「投信残高ポイントプログラム」の対象になっている。「楽天・プラス・S&P500インデックス・ファンド」のポイント還元率は年0.028%、「楽天・プラス・オールカントリー株式インデックス・ファンド」では年0.017%だ。

1本のファンドとしてみれば、「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」の純資産残高は6兆円を超え国内最大の公募投信(ETF除く)になっている。「楽天・プラス・S&P500インデックス・ファンド」の純資産残高は3600億円余りで、規模の格差は大きい。ただ、全体の販売額でかなわなくとも、コストに厳しい目を向ける楽天証券の売れ筋としては順位が逆転することも可能だろう。今回、第3位にまで順位を上げた「楽天・プラス・S&P500インデックス・ファンド」が「eMAXIS Slim」シリーズの第1位、第2位の間に割って入れるのか、今後の展開を注目したい。