「年金だけでは老後は厳しい……?」。昨今、資産形成に多くの人の関心が集まる背景には老後の不安があります。

そんななか社会保険労務士の「社労士みなみ」さんは、知識や経験のないまま投資を始めて失敗してしまう高齢者がいる現状を変えるため「年金最大化生活」を提唱しています。著書『もらう×増やす×出費を減らす 年金最大化生活』から、もらえる年金を増やす方法を紹介します。(全4回の2回目)

●第1回:年金をもらうのを1カ月遅らせるだけで0.7%増…最大84%増える「繰り下げ受給」を社労士が解説

※本稿は、社労士みなみ著『もらう×増やす×出費を減らす 年金最大化生活』(アスコム)の一部を抜粋・再編集したものです。内容は2024年7月時点の情報に基づいています。

繰下げた後で「やっぱり繰下げやめた」もOK

また、老齢年金は、繰下げすれば増額できるとわかっていても「今もらえるものを先送りする」という選択に不安がある人が多いのも事実です。そんな方にお勧めの方法があります。
 
「繰下げみなし増額制度」です。

とりあえず、繰下げ受給を選択しておくと、もしも繰下げ待機中に健康不安が生じたり、急にまとまったお金が必要になったら、それまでの年金を一括で受け取ることができるのです。

例えば、70歳まで繰下げる選択をした後に、69歳になってお金が必要になり、やっぱり65歳からの受給にしたくなったら、申請すれば65〜69歳までの年金額をまとめて受け取れるのです。ただし、さかのぼれるのは5年間です。この場合、残念ながら繰り下げた分の増額はありません。

65歳時点での年金額で計算されます。

では、71歳まで繰下げした場合はどうなるのでしょうか?

本来受け取る年齢65歳からすでに6年が経過しています。

71歳で年金をさかのぼって一括受け取りする場合では、5年前の日までの分を繰下げたとみなされます。

つまり、65歳~66歳までの1年分を繰下げたとみなされ、8.4%(0.7×12カ月)の増額された年金額が支給されます。これを、繰下げみなし増額制度といいます。