安定的なキャッシュフローを長期的に生みだす期待
世の中にはさまざまな投資対象がある。誰にでも手軽に投資できるのは上場株式だが、その道のプロだけが投資するものとして、不動産や未公開株式や”貸付”や、はたまた貴金属やワインやポケモンカードなどもある。
中でも”音楽著作権”は、実は世界では大手のプライベートエクイティ(PE)ファンドが最近になってこぞって投資対象としている有望な投資対象だ。世界最大のPEファームの一社であるEQTを創業したコニー・ジョンソン氏は「このチャンスは30年前にプライベートエクイティが黎明期だったころを彷彿(ほうふつ)とさせる。テクノロジーによる市場の変化は一世一代のチャンスを生み出している」と述べている。ここではなぜ音楽著作権が投資対象として有望と考えられるか議論したい。
まずは音楽著作権の投資対象としての表面的な特徴を整理する。
キャッシュフロー:曲が再生、ダウンロード、商業的に使用されるたびにロイヤリティ収入が発生する。その結果、音楽著作権には安定的で継続的な収入が期待できる。
長期的収入: 定番となった人気曲(カタログミュージック)は長年にもわたって収入を生み出す傾向がある。
変動性:株式や債券、不動産などは経済状況や金利、市場動向によって左右される。一方、音楽ロイヤリティは消費者の嗜好や業界の変化には影響されるかもしれないが、他の資産との連動性は低い。
つまり、音楽著作権は安定的なキャッシュフローを長期的に生む資産と言える。このような資産として他に、リスクの低い債券や不動産があるが、それらのような安定的なキャッシュフローを生む資産は、たいていアップサイド(成長余地)は限定的だ。しかし音楽著作権はアップサイドの可能性も十分にあることが特殊だと思う。以下、その理由を説明したい。