2024年10月からパートやアルバイトで働く人たちへ社会保険の適用が従業員数51人以上の企業に拡大されます。扶養はとても複雑な制度のため、年収と保障のバランスに悩まれている方も多いでしょう。
この機会に「扶養の壁」の理解を深めるのはいかがでしょうか。ファイナンシャルプランナーの塚越菜々子氏に年収が上がるごとに、どのようなメリットとデメリットがあるのかを解説してもらいます。(全3回の1回目)
※本稿は、塚越菜々子著『「扶養の壁」に悩む人が働き損にならないための38のヒント』(東京ニュース通信社)の一部を抜粋・再編集したものです。
小さい会社でも社会保険が適用されるように
「106万円の壁」は、妻自身が勤務先で社会保険に加入することになる壁です。
月額賃金などの一定の条件を満たすと社会保険(健康保険・厚生年金保険)の加入を義務付けられます。妻自身が社会保険に加入する場合は、年収130万円未満でも夫の扶養から外れます。
以前はパートなど短時間で働く人は、勤務先で社会保険に入ることができませんでした。これが2016年に始まった社会保険の適用拡大によって、2022年10月に社員101人以上、2024年10月に社員51人以上の企業へと社会保険の適用拡大が進んでいます。
なぜ、今そうしたことが起きているのでしょうか。
社会保険の適用拡大には、国民年金の第2号被保険者(厚生年金加入者)を増やしたいという国の考えがあります。国民年金は加入者の立場により第1号、第2号、第3号の3つに分けられます。第2号の夫の扶養内で働く女性は第3号に属し、保険料を負担しません。
国としては第3号の人を減らして、企業と折半で保険料を負担する第2号へと移行させ、働き方に応じた社会保障を得られるようにしたいと考えています。