値上げ浸透で過去最高益を達成、今期は減益予想も上方修正、減益幅は縮小見込み

JTの足元業績は好調です。直近の2023年12月期は増収増益でした。売上収益と純利益の増加は3期連続で、いずれも過去最高を更新しています。たばこ事業で値上げ効果が発現したほか、金融損益の改善および法人税の負担減少なども利益を押し上げました。

 

出所:JT 有価証券報告書より著者作成

今期(2024年12月期)は増収減益の予想です。たばこ事業は自社たばこ製品で増収を見込みますが、為替の影響などから調整後営業利益の減少を予想しています。医薬事業も、前期に発生したライセンス契約の一時金のはく落や研究開発費の増加などから減益の予想です。

ただしJTは中間決算で業績予想を上方修正しました。為替が想定よりポジティブに推移すると見込まれることが主な要因です。上期の実績も、たばこ事業が引き続き値上げ効果などから増収増益と好調でした。

通期は依然として減益の予想ですが、減益幅は期首予想より縮小する見込みです。

【JTの業績予想(2024年12月期)】
・売上収益:3兆1090億円(+9.4%)
・営業利益:6600億円(-1.8%)
・純利益:4750億円(-1.5%)
※()は対前期増減率
※同第2四半期時点における同社の予想


【JTの上方修正の概要(2024年12月期第2四半期)】
・売上収益:+930億円(3兆160億円→3兆1090億円)
・営業利益:+120億円(6480億円→6600億円)
・純利益:+200億円(4550億円→4750億円)

出所:JT 決算短信

なお、通期の予想配当金に変更はありません。期末に1株あたり97円の配当金を支払い、中間(同97円)と合わせ年間194円の配当を予定しています。今期の配当性向は75%を目安とし、プラスマイナス5%程度の範囲で判断するとしています。