◆物価連動国債やバランス型の人気も根強く

「MHAM物価連動国債ファンド(愛称:未来予想)」は、日本の物価連動国債(元金額や利払い額が物価の動きに連動して増減する国債)を主要な投資対象としたファンドだ。1990年代後半以降に日本経済が「バブル崩壊」といわれ、国内インフレ率(消費者物価指数)が前年比でマイナスになることが常態化し、「失われた30年」などといわれる間には、「物価連動国債」の価値が意識されることがない時代が続いてきた。ようやく異次元の金融緩和策の解除が始まり、インフレリスクが意識されるようになった。地域一番店である地方銀行にあっては、「インフレから顧客の資産を守る」ことは重要な役割といえる。5月末時点での過去1年間のトータルリターンは1.8%。安定的にインフレに負けないパフォーマンスが期待される。

そのような安定的なパフォーマンスを提供するという観点では、北洋銀行の売れ筋に入る「のむラップ・ファンド」や広島銀行の「りそなラップ型ファンド」などといったラップ型ファンドも地方銀行の売れ筋として特徴的な部分だ。メガバンクでもラップ型商品の提供は主要な業務になっているが、株式や債券、REIT(不動産投信)などグローバルにさまざまな資産に分散投資することによって、市場の変動にかかわらず一定水準のリターンを提供し、安定的な収益の獲得をめざす商品だ。預貯金から投資商品への資金シフトを進める役割を担い、投資初心者に初めての投資商品を提供するという観点から、顧客のリスク許容度に合わせたラップ型ファンドが選択されているのだろう。

◆「インド株」は地銀でも売れ筋に定着するか?

一方で、地方銀行の売れ筋の中にも「インド株」が入っている。顧客が自分の意志で購入するネット販売の上位ファンドの一角にも「インド株」が食い込んできている。新興国市場は価格変動率が大きくなりやすく、リスク水準は比較的高い商品になる。今後、「インド株」が地方銀行の売れ筋として定着するかどうか見守りたい。

執筆/ライター・記者 徳永 浩