なぜ中国の「金買い」は突出しているのか

ただ、ロシアやインドに比べて中国の金買いが突出しているのは、どうやら他の理由もありそうです。

それは、米中対立激化のなかで、米ドル建て外貨準備を封鎖された時に備えて金を確保しているという見方です。

ロシアがウクライナに進出した時、米国をはじめとする西側諸国は、ロシア中央銀行が西側各国に保有している約3000億ドルの資産を凍結しました。もし、台湾海峡を巡り、米国と中国が対立した時、同じような経済制裁を発動して来ないとは限りません。もし、そのような現実に直面した時でも、外貨準備の一部を金に切り替えておけば、外貨準備のすべてが凍結されることにはなりません。

現状、中国人民銀行は、外貨準備の多くを米国国債で保有しています。その保有残高は、2020年3月末時点で1兆816億ドルでしたが、2023年10月末には7696億ドルまで減少しました。

このように、さまざまな臆測の中で中国の金買いが進められており、それが昨今の金価格高騰につながっていると考えられるのです。