成長分野に8兆円の投資 NTTが目指す「IOWN」構想とは

NTTは2023年5月に新中期経営計画を公表し、5年間でEBITDA(※)を20%増加させる目標を明かしました。実現のため2027年度までに成長分野で約8兆円、既存分野で約5兆円の投資を行うとしています。

※EBITDA(イービットディーエー):Earnings Before Interest, Taxes, Depreciation and Amortizationの略。一般に支払利息と減価償却費を加えた税引き前利益を指す。

【中期経営計画の財務目標(~2027年度)】

  主な事業領域  EBITDA成長率 
(対2022年度)
 成長分野   IOWN、デジタル・データセンター、
 電力・エネルギー、スマートライフ、
 不動産、AI・ロボット
40%
 既存分野  NTTドコモ(コンシューマ通信事業)、 
 NTT東日本、NTT西日本
10%
全体 20%


出所:NTT NTTグループ中期経営戦略

成長分野の中核をなすのが「IOWN(アイオン)」です。Innovative Optical&Wireless Networkの略で、大容量・低遅延・低消費電力のネットワークを目指す構想を指します。光技術ベースのネットワークを構築することで、従来の電子通信ネットワークと比較し伝送容量125倍、遅延200分の1、電力効率100倍の実現を目標としています。

2023年3月には商用化も始まりました。ネットワーク全区間に光波長を用い、遅延を従来の200分の1に低下させた「オールフォトニクス・ネットワークIOWN 1.0」がNTT東日本とNTT西日本から提供されています 。

デジタル化のさらなる進展が予想される中、円滑なネットワークに対する需要はより強まることが期待されます。IOWNの実現は、NTTをさらに成長させるかもしれません。