純資産1000億円目前の世界債券ファンド

「三菱UFJ/マッコーリー グローバル・インフラ債券ファンド<為替ヘッジなし>(毎月決算型)」(愛称:世界のいしずえ。以下同)は、世界の債券で運用される投資信託です。投資家の資金が順調に流入しており、純資産総額は1000億円目前にまで増加しました。

【三菱UFJ/マッコーリー グローバル・インフラ債券ファンド<為替ヘッジなし>(毎月決算型)】 

出所:三菱UFJ国際投信「ファンド詳細」より著者作成

世界のいしずえは、なぜ投資家を惹きつけるのでしょうか。

分配金の引き上げで人気化

世界のいしずえは、分配金が引き上げられた時期に純資産総額が増加しました。

世界のいしずえは2012年9月から毎月分配金を支払っており、その額は当初30円でした。その後、2016年12月からアメリカで利上げが実施されたこと、また当時のトランプ大統領による積極的な財政出動が期待されたことから、金利に上昇圧力が働きます。世界のいしずえにおいても利子収入の増加が見込まれたことから、2017年2月に分配金を100円に引き上げました 。その年、世界のいしずえの純資産総額は7倍以上に成長し、その後も順調に運用資産を増やしています。

【純資産総額と分配金の推移(2012年~2022年)】 

出所:三菱UFJ国際投信「ファンド詳細」より著者作成

分配金に対する投資家のニーズは高く、世界のいしずえに資金が集まった理由の1つと考えられます。

安定感のあるインフラ企業への投資も訴求

インフラ関連企業が発行する債券のみに投資する運用も、資金を集めやすいポイントでしょう。

インフラ関連企業とは、電力やガスなどの公益企業や携帯電話といった通信企業のように、日々の生活に不可欠なサービスを提供している企業を指します。サービスに対する需要が安定してあることから、景気変動の影響を受けにくく、そのため健全な財務を持つ企業が少なくありません。

【組入業種の比率(2022年2月末時点)】
 
・公益:43.7%
・通信:34.5.%
・エネルギー:15.6%
・運輸:6.2%

さらに世界のいしずえは、原則として「BBB-」相当以上の格付けを取得している債券にしか投資しません 。BBB格以上が付された債券は一般に投資適格と評価され、発行体が破綻する可能性が低い傾向にあります。優良なインフラ企業の債券のみに投資する戦略は安定的な運用に期待しやすく、投資家の資金を誘っていると考えられます。

【ポートフォリオ特性(2022年2月末時点)】
 
・最終利回り:5.6%
・直接利回り:4.8%
・デュレーション:9.0年
・平均格付け:BBB+