金の運用で最大規模の公募投信

「三菱UFJ純金ファンド」(愛称:ファインゴールド)は、金に投資する公募投信でトップクラスの規模を持つ銘柄です。純資産総額は毎年増加しており、年次ベースで前年を下回ったことはありません。特に近年は増加ペースが拡大しているようです。

【三菱UFJ 純金ファンド】
 

出所:三菱UFJ国際投信「ファンド詳細」より著者作成

三菱UFJ純金ファンドが資金を集める理由を探りましょう。

「コロナ」と「ウクライナ」で資金集まる

三菱UFJ純金ファンドの純資産総額は、特に2020年と2022年に大きく増加しました。2020年は「コロナショック」で、2022年は「ロシア・ウクライナ問題」で市場が不安定になった年にあたります。これらの年に三菱UFJ純金ファンドに資金が集まったのは、「有事の金」が意識されたためでしょう。

【純資産総額の増減額】
 

出所:三菱UFJ国際投信「ファンド詳細」より著者作成

有事の金とは、情勢が不安定なときは金が値上がりしやすいということを表す言葉です。

金はそれ自体が価値を持つ資産で、価値がゼロになることは基本的にありません。対して株式は企業の価値に裏付けられた資産であり、その企業が破綻すれば価値の全てが失われる可能性があります。そのため、相場に強い不透明感が生じると、株式より金が選好されやすいといわれています。事実、過去の多くの金融危機では株式より金のパフォーマンスが良好でした。

【主な金融危機時における騰落率】
 

出所:三菱UFJ国際投信「不透明な投資環境下における金投資のポイントについて(2022年6月)」より著者作成

インフレで資金の逃避先に選ばれた

近年台頭するインフレ懸念も、三菱UFJ純金ファンドが資金を集めた理由の1つでしょう。

インフレは物価の上昇を指しますが、視点を通貨に移せば、インフレは通貨の価値が下落することを意味します。価値が下落した通貨で金を購入するためには、対価としてより多くの通貨を用意しなければいけません。つまり、金が値上がりすることになるのです。

一方企業に目を向けると、物価の上昇は経費の増加につながるため、インフレは目先の業績を悪化させる要因となります。したがって、インフレ下における短期的なパフォーマンスは株式より金の方が良好となることが少なくありません。例えば2000年以降、3%以上のインフレが起こった場合の3カ月平均騰落率は、株式より金の方が優秀でした。

【インフレ水準別の3カ月平均騰落率(2000年1月~2022年5月)】
 

出所:三菱UFJ国際投信「不透明な投資環境下における金投資のポイントについて(2022年6月)」より著者作成