4000億円ものお金を動かす、日本屈指のカリスマファンドマネージャー、奥野一成氏。奥野氏によれば、日本人にもっとも欠けているのが「インベスターシンキング(投資家の思考法)」。

身に付ければ、本当に強い企業を見抜けるようになり、投資家として成功できるのはもちろん、自身がビジネスで提供しているものの価値をより深く分かるようになるため、ビジネスパーソンとしても抜きん出ることができると言います。

そんな奥野氏が、どのように企業の価値を見定めているのかを余すところなく解説したのが、話題の書籍『ビジネスエリートになるための投資家の思考法』です。

今回は特別に、インベスターズシンキングを身に付けるうえで理解すべき「お金の本質」について解説した、第1章の一部を特別に公開(前後編の後編)。

●前編はこちら

※本稿は奥野一成著『ビジネスエリートになるための投資家の思考法』(ダイヤモンド社)の一部を再編集したものです。

お金はありがとうのしるし

お金(利益・報酬)は企業や個人が顧客の問題を解決した対価です。逆に言えば、顧客は問題を解決してくれた人へそのお礼としてお金を支払います。

「清貧」という言葉があるように、お金に対して「なんとなく汚いもの」、お金持ちに対して「卑しい人」というイメージを持っている人も多いのではないでしょうか。しかし、このお金の性質を考えると、お金は決して汚いもの・卑しいものなどではなく、「ありがとうのしるし」なのです。

先進国における、意味的価値>機能的価値という環境の中では問題発見により大きな比重が置かれています。顧客自身すら気づいていない、より大きな問題を発見し解決できれば、その対価である報酬(個人)、利益(企業)が比例的に大きくなるのも当然です。より大きな問題を、より大きく解決してくれた企業や個人のところにお金は集まるという傾向は、今後ますます強まっていくと思います。

これこそがお金というものの本質であり、これを理解してお金というもの自体への執着を捨てることが、逆説的ですがお金持ちへの第一歩だと私は考えています。そのことについては前著『15歳から学ぶお金の教養 先生、お金持ちになるにはどうしたらいいですか?』に詳しく書きましたので、未読の方はぜひ手に取ってみてください。