ここ数年ですっかり認知度の高まった、「FIRE(Financial Independence, Retire Early:経済的自立と早期引退)」。
FIRE実現の手段としては、一般的に「1億円貯めて年率4%で運用してリタイア」というように、資産運用収益だけで生活を賄う、“ストック型”の方法がよく挙げられます。
しかし、井戸美枝氏は大半の人にとってこの方法は現実的ではないと指摘。むしろ、面白さを感じながら続けられる仕事を見つけ、生活を見直し、給付金や補助金、リースやシェアなどお金に関する制度や仕組みを活用して、その人自身の経済的自立と望ましい生き方を手に入れる「ライトFIRE」こそが、多くの人にとって実現可能性が高く、最善の選択肢だと提案します。いわば入ってくるお金で暮らす、“フロー型”のFIREというわけです。
そんな「ライトFIRE」を叶える100の実践術を解説したのが、話題の書籍『お金がなくてもFIREできる』。 今回は同書より、序章「FIREが与えてくれるもの」、第1章「貯め方・使い方を変える!」、第2章「増やす!」の一部を特別に公開します(全3回)。
※本稿は井戸美枝著『お金がなくてもFIREできる』(日経プレミアシリーズ)の一部を再編集したものです。
大切なのはFI(経済的自立)の手法と知識
FIREはFinancial Independence, Retire Earlyの略です。FIは経済的自立、REは早期引退、2つの考えを連ねたものです。ここまではご存じの方も多いでしょう。
実は、FIとREは関係していますが、まずはFI(経済的自立)を確立した後の選択肢の1つとしてRE(早期引退)があるという関係です。
Financial Independence――経済的自立、お金での独り立ち。
私がお金に目覚めたのは23歳のときです。
学校を卒業し正社員として働いたのですが、体を悪くして会社を辞めました。人間関係が辛く、会社で働くことができなかったのです。当時は両親と一緒に暮らしていたので生活に困ることはありません。しかし、「これから先どうしよう」と思い、嫌な人と顔を合わせたり嫌な場所に行くこともなく、自分の好きなように生きるにはお金はどれくらいあればいいのかを考え始めました。これが、Financial Independence(経済的自立)への出発点となったわけです。
FIREを手に入れたいと思うなら、まずは自分自身をよく知ることです。
ごく限られた人だと思いますが、会社や組織団体のトップとなることに生きがいを感じ心身共にイキイキと活躍できる人には、FIREは問題にもならないと思います。
ほとんどの人は、若いときに自分自身を正しく捉えることはなかなか難しいものです。私も、自分自身を冷静に客観的に見つめることができるようになったのは最近のことです。
人生まさに紆余曲折、限りなく曲がりくねっています。そのためにも、まずはFI(経済的自立)の実践的な手法と知識を身につけ、いつでもRE(早期引退)できるだけの金銭的な準備をしておくことが重要となってくるのです。
「こんな会社、辞めてやる!」という踏ん切りをつけることができるのは、お金の裏付けがある場合だけ。なければ単なる冒険に終わってしまいます。