インベストメント・チェーンの機能向上が必須
インベストメント・チェーンとは、同レポートで「投資の連鎖」と称されているように、顧客や受益者から投資先企業へ投資が行われ、その価値向上の伴う配当などが家計に還元される一連の流れのことです。具体的には、
①資産運用業の高度化
②アセットオーナー(企業年金等)の機能発揮
③販売会社による顧客本位の業務運営
④企業の持続的な成長(コーポレートガバナンス改革)
⑤金融・資本市場の機能・魅力向上(取引所等)
⑥家計の安定的な資産形成
から成り立っています。どこを起点、終点にするかという話は明記されておらず、したがっていずれも同時に進めて行くことだと解釈できます。誤解を恐れず、簡単な言い方をすると、恐らくこうなるでしょう。
投資信託会社は良い成績を出せるように運用の高度化を進める。
企業年金は従業員の積立金をちゃんと増やせるように運用を頑張れるような体制を構築する。
販売会社はまず顧客のメリットを考えて商品を販売する。
投資先ともなる企業は投資のパフォーマンスが上がるように持続的に成長できるような経営を行う。
日本の証券取引所などは、外国人投資家を含めてより大勢の投資家が集まってくるように魅力を高める。
そして、それらが高じて、「資産所得倍増プラン」ではありませんが、個人の安定的な資産形成を実現する。
その裏側にあるのは、これから先、人口減少社会が加速していくなかで、大勢の高齢者を少ない現役世代が支えなければならず、破綻はしないまでも年金財政が苦しくなるのは必定であり、現役世代の社会保障負担が重くなって、消費が落ち込むだけでなく、将来の備えが十分に出来なくなるリスクがあるため、個々人にもっと資産運用に目を向けてもらえるように、インベストメント・チェーンの機能を向上させなければならない、ということです。