国からの生命保険にも注目
まずお子さんが小さい場合の保険の役割をおさらいしましょう。生活費を稼いでいる父親が亡くなると、母親1人で子供達を育てていかなければなりません。日々の生活費の他にも、子供達の教育費も必要です。特に子供が小さいと思うように働きに出ることが難しいかもしれないので、その分の経済的備えが必要となります。もちろん母親が亡くなった場合も同様に備えが必要です。
18歳までの子どもがいる方が亡くなると、国は遺族基礎年金を支給します。もちろん年金保険料を適切に支払っていることが条件ですが、対象となる子どもが1人だと年額約100万円、2人だと約120万円といった金額が継続して受けられます。また亡くなった人が厚生年金被保険者であれば、遺族厚生年金が遺された配偶者に支払われます。
従って、民間の生命保険は国から支払われる遺族年金だけでは不足すると判断した場合に上乗せとして必要な額だけ別途加入します。これが生命保険の目的の1つ目、子供の将来を守るための保険です。
一方、子供がいない、あるいはすでに成長して親としての役割は果たしたという年代になると、生命保険は配偶者の暮らしを維持するために目的が変わります。
配偶者に対しては、遺族厚生年金が支払われます。遺族厚生年金は、亡くなった方が受け取る予定だった老齢厚生年金の75%です。これは、会社員として働いている時も、定年後に亡くなったとしても年金加入期間が25年以上であれば支給されます。
この遺族厚生年金は配偶者自身が老齢厚生年金を受け取るタイミングで調整されます。細かいルールは割愛しますが、基本的な考え方として遺族厚生年金と老齢厚生年金とどちらか金額が大きい方が優先されます。調整後の年金額が配偶者の老後の生活資金となります。
従って、生命保険を断捨離するべきかどうかは、この配偶者の老後の年金をベースに考えます。もし十分な貯蓄ができていないなど問題があれば、生命保険が配偶者の老後の生活を守る資金となります。