年金受給開始年齢は自分で決められる

次にC欄記載の網掛け部の金額に0.76を掛けてみましょう。その金額は、もし年金の受け取りを60歳まで早めた場合の受け取り額です。だいぶ少ないですね。あくまでも見込み額ですが、年金を早めて受け取りたい人は、その金額が一生続くと思って、長い老後に備える必要があります。

次に、C欄の網掛け部分の年金額に1.84を掛けてみましょう。結構な金額になりますよね。この額は、もし年金受給を75歳まで遅らせた場合の金額です。「これだけ年金があれば、ゆとりがあるな~」と思った方も少なくないはずです。もしそうであれば、75歳まで年金の受け取りを遅くしても生活が成り立つように、60歳以降の働き方や退職金の取り崩し方、今からいくら老後資金を準備しなければならないのかを具体的に考えていきます。

また早める際も遅らす際も1カ月単位で、自分で受取り時期を決めることができるので、いくつかシミュレーションをしてみるのもお勧めです。

繰上げをすると、年金額が減額される以外にも万が一障害を負っても障害年金が受けられないことや、遺族厚生年金を併せて受けられないという注意点もあります。さらに一度繰上げを請求すると取り消しできません。

また会社員には、老齢厚生年金受給時に年下の配偶者への家族手当ともいえる「加給年金」が支給されるのですが、もし老齢厚生年金を繰下げすると加給年金が支給停止になりますし、会社員として働き続ける際に、給与の額によっては老齢厚生年金が一部あるいは全部支給停止になったりする「在職老齢年金」の場合、停止された分は繰下げの対象外となるなど、繰下げの場合でもいろいろな注意点があります。

繰下げは繰上げと異なり、年金受給の時期を待機しているだけですから、特に届け出は不要です。いつでも受取の請求をすることができますし、場合によっては過去未受給分を一括で受け取るなどといった選択肢もあります。

「うーん、なんだか複雑だな」そんなふうに思った方も少なくないでしょう。でもむしろそう思ってぜひ専門家に相談してほしいのです。年金事務所やファイナンシャルプランナーといった方たちです。年金をいつから受け取るかは、一生ものの決断です。ぜひじっくり考えましょう。そして長生きに備え、納得した選択をしてください。
 

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