役職定年後の収入や退職金…“実際の数字”で具体的に把握しよう
勤務先に「役職定年」という制度があるのか? あるとしたら、それによって収入はどのくらい変わるのか? 数字の印象は不思議なもので、「3割減る」というのと「月15万円減る」というのでは、インパクトが全く違います。今後の収入の見込みをできるだけ正確に把握したら、家族にもシェアします。50代は、お子さんの大学進学などと重なるケースも多く、役職定年後の給与を計画に織り込んでいなかったために、その後の家計収支が悪化した方もいます。
退職金についてはどうでしょう? 一時金として受け取る退職金のほかに、年金形式で受け取る退職金がある会社もあります。3種類ある企業年金はそれぞれ特徴が異なります。厚生年金基金は終身年金ですが、確定給付企業年金(DB)と呼ばれる制度は、5年、10年、20年といった確定年金で金額もそれぞれなので自分で選ぶ必要があります。確定拠出年金(DC)は2022年からは会社を退職したあとも個人型として継続を選択できるようになりますし、運用のみを続けることもできるのでさらに複雑です。これらは会社の制度なので、一般論ではなく“うちの会社”はどうなのか、さらには“自分の場合”はどうなのかを事前に確認する必要があります。ここでも、「何が」「いつからいつまで」「いくら」なのかをチェックします。
継続雇用もしかりです。よく定年後も働くと年金がカットされてしまう「在職老齢年金」を嫌って、むしろアルバイトの方がいいんだという方もいますが、それも2022年に制度改正が行われます。また先輩と違って、60代前半の「特別支給の老齢厚生年金」を受けられる方も50代にはあまりいませんから、そもそも在職老齢年金の影響を受ける人は少ないでしょう。すると、むしろ給与をもらって厚生年金を増やすことを考えた方が有利になるケースも多いのです。
60歳以降の働き方によって、加入すべき健康保険や負担する保険料も変わります。もちろん配偶者の社会保険もそれに伴って変わります。仮に配偶者の方が年下で専業主婦であれば、夫が60歳定年で会社員を辞めれば、妻はこれまでのように年金保険料の3号被保険者免除が受けられなくなり、自らが月16,000円程度の国民年金保険料を負担することになります。