内部要因と外部要因の結節点に
サーベイによると、オルタナティブ商品について現時点で「取り扱っている」と回答したIFA法人は30.4%に。「今後検討したい」(17.4%)を合わせると半数近くがオルタナティブ商品に対して前向きなスタンスだと言えます。既に取り扱っている、あるいは今後検討したいオルタナティブ商品の類型は、プライベートクレジット、PEがいずれも29.0%で並んでいます。
一般的に、オルタナティブ商品は戦略ごとの個別性が強く、提案のハードルは高めです。にもかかわらず、IFA業界で関心が広がっている要因として、行政側の政策的な後押しがあると考えられます。
数年前まで、政府はオルタナティブ商品の政策的な扱いについて曖昧な態度を維持していました。しかし、金融庁は2025年6月末に公表した「資産運用サービスの高度化に向けたプログレスレポート2025」の中で、特に国内オルタナティブ投資について後押しする姿勢を明確化させました。この中では「国内オルタナティブ投資」に関する独立した章立てが設けられ、オルタナティブ投資の伸びしろの大きさを示すデータを紹介。特に非上場株式への投資について、「(日系大手が)グループ会社の知見を活用しやすい環境にある」と指摘し、事業者に積極的な検討を促しました。担当幹部も報道陣に「国内の成長を促進する観点からは、日本のVCに対する投資が進んでほしい」と明言。リスクマネーの流れ道を支えるインベストメントチェーンの活性化を通じ、国内の成長分野を資金面で支援する考えを示しました。
今回のサーベイでは、オルタナティブ投資を検討する理由についての設問で、「顧客のポートフォリオ分散のため」とする回答が33.3%で最多に。「富裕層マーケティングのため」(29%)、「顧客ニーズがあるから」(26.1%)、「商品・サービスでの差別化」(同)と続いています。ニーズを捉えて競争優位性の確保を目指す各法人の内部要因と、政策的な思惑をベースとした行政からの働きかけという外部要因の一致が見て取れます。
「資産運用立国」政策の生みの親である岸田文雄元首相も、退任後、オルタナティブ投資の促進についていっそう踏み込んだ発言をしています。昨年10月(高市政権発足後)に登壇したイベントでは、「資産運用会社の皆さんには、稼ぐ力のある有望な日本企業を見極め、家計の資産形成を支える良質な運用商品を組成してほしい」と発言。アセットオーナーに対しても、日本企業に投資するPEファンドの投資案件への出資拡大を呼びかけました。
課題は投資家のニーズ発掘
政官が運用業界への働きかけを強める中、少なくとも供給面は環境整備が進みつつあります。一方で課題となるのは、需要と供給をつなぐ提案・営業の機会の拡大です。事業者からは「オルタナ商品が現場に届いても、それを語れる人材がいない」(有力生保会社の大口営業担当幹部)といった声も聞こえ、金融分野全体で専門人材が不足していると言えそうです。
政官を含めた資産運用界全体では、オルタナティブ投資を語れるアドバイザーの「ニーズ」は高まっている状況です。肝心の投資家側のニーズを発掘し、千差万別のオルタナティブ商品から顧客に合ったソリューションを選別する目利き力を持った人材を確保できるのであれば、IFAが大手金融機関との差異化によって存在感を示す一手段になるかもしれません。
