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AI関連は勝ち組と負け組に選別―2026年の投資戦略「高ボラティリティ時代」を乗り切る投資家の心得 ニッセイ基礎研究所・井出真吾氏に聞く

finasee Pro 編集部
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2026.01.28
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AI関連は勝ち組と負け組に選別―2026年の投資戦略「高ボラティリティ時代」を乗り切る投資家の心得 ニッセイ基礎研究所・井出真吾氏に聞く
2025年の金融市場は波乱含みの展開となった。世界経済は米国第2次トランプ政権による保護主義的な通商政策が関税ショックを引き起こし世界を翻弄。国内では日銀が追加利上げを実施し、金融正常化を推進。春闘では2年連続5%台という高い賃上げ率を達成したものの継続的な物価高は消費者生活に色濃く影を落とし続けている。10月には初の女性総理となる高市政権が誕生。株式市場は活況を呈する一方、インフレと金利上昇圧力は継続している。世界株はAI投資に牽引され、国内株は日経平均が史上初の5万円台を突破し過去最高を更新。新NISA投資家にも大きな影響を与えた。2025年の流れを受け、投資家は2026年にどう挑むべきか。世界経済、金融市場の見通しについてニッセイ基礎研究所チーフ株式ストラテジスト、井出真吾氏に聞いた。

関税影響をもろともせず大幅上昇を達成した2025年の日本株

――2025年を振り返って、世界経済および金融市場の主な動き、流れは?

2025年前半の金融市場はトランプ関税に揺さぶられたものの、関税率引き下げのほか底堅いグローバル景気の支えもあって、関税の影響は想定ほど大きくなかった。さらに26年は2桁増益が想定されており、夏場以降の株価大幅上昇につながった。日米同盟強化も日本株の上昇を後押ししたとみられる。

インフレ率は徐々に低下、実質賃金プラス転換に期待

――2026年の日本経済の見通しは?

長引くインフレや人手不足を背景に高水準の賃上げが実現するだろう。トランプ関税の影響が限定的なことも賃上げを後押しする。インフレ率は徐々に低下が見込まれており、実質賃金がプラスに転じる可能性が高まっている。

足元のインフレ率は3%程度だが、円相場が1ドル150円台程度でとどまれば、ガソリン価格の低下や食料品の値上げ品目数の減少などを背景にインフレ率は2%台半ば、場合によっては2%台前半まで落ち着いていくだろう。

一方で、賃上げは5%前後の水準で続くと見ている。インフレ率が落ち着き、賃上げが続くことで年内のいずれかで実質賃金がプラスに転じるだろう。国内景気や消費が下支えされることで内需関連の企業にとって好材料となるはずだ。

もちろん賃金が上がったからといって、すぐに消費マインドが盛り上がるわけではないが、「年収の壁」の引き上げなども追い風となり、将来への不安は少しずつ和らぎ、消費マインドはこれまでより高まっていくのではないか。

高市政権の誕生で企業投資の拡大が促進されていくが、さらに今年はコーポレートガバナンスコードの改訂が予定されている。その大きなテーマの一つが企業の現預金の使い方だ。これまで溜め込んできたキャッシュが設備投資や人材投資、あるいは自社株買いや賃上げに活用されることが期待される。こうした動きは海外投資家にとっても非常に分かりやすい前向きな変化であり、日本株が再評価されるきっかけになり得ると考えている。

AI関連は勝ち組と負け組の選別ステージに

――2026年の株式市場の見通しについて、注目すべき投資テーマや投資妙味のあるセクターは?

今年の株式市場については、基本的には上昇基調を保つと予想している。ただし、昨年が年間で26%も上昇したことと比べると、今年の上昇率は6~8%程度と、巡行速度に戻るイメージだ。相場を力強く牽引してきたAIだが、その勢いはスローダウンすると見ている。これまではAI関連というだけで株価が上がるような側面があったが、最近では「巨額投資を本当に回収できるのか」といった、より冷静で懐疑的な見方が市場に広がっている。すでにAI関連銘柄は勝ち組と負け組が選別されるステージに入っている。そのため今年はAI関連が相場全体を力強く引っ張っていく展開にはならないのではないか。

企業業績について現在、市場では12〜13%の増益が予想されているが、この数字はすでに株価に織り込み済みだ。ただし企業業績は市場予想を上振れする可能性が高いと見ている。アメリカ経済が腰折れしないという条件付きにはなるが、15%超の増益、場合によっては20%近い増益もあり得ると見ており、その上振した分は株価上昇として期待してよいのではないか。

「投資しているお金はいつ使うか」、急変に慌てない視座を

――2026年に投資家が意識すべき点、注意すべき点は?

今年も市場のボラティリティ(価格変動)は高い状態が続くことを覚悟しておく必要があるだろう。中東情勢などの地政学リスクや米中の対立、あるいはアメリカ経済のスタグフレーション懸念など、市場が揺れ動く可能性は数多く存在する。

個人投資家の皆さんにお伝えしたいのは、実体経済と金融市場の反応は必ずしも一致しないということ。金融市場は、時に実体経済以上に懸念を強めて動くことがある。記憶に新しいところでは24年8月の令和のブラックマンデーや、25年2月のディープシークショック。どちらも、後から振り返れば実体経済に大きな影響はなかったにもかかわらず、金融市場は大きく動揺した。

もし今年もそのような下落局面に遭遇したとしても、長期投資を前提としているのであれば慌てて売る必要はないだろう。過去の歴史を振り返っても、アメリカの景気後退はだいたい1年前後で収束している。リーマンショックですら、S&P500が元の価格を回復するのにかかった期間は5年半だった。

その点を鑑みると、株価が大きく下がって怖くなった時にまず考えてほしいのは、「この投資しているお金を、自分はいつ使う予定なのか」ということ。もし使うのが10年後、20年後であれば、目先の価格変動に一喜一憂する必要はない。そもそも株式投資とは、投資してから10年以内であればいつ元本割れしてもおかしくはないもの。15年、20年と時間をかけることで元本割れのリスクは着実に低減していく。金融市場は揺れ動くものだと割り切り、長期的な視点を持ち続けることが何よりも重要だ。

ニッセイ基礎研究所
金融研究部 主席研究員 チーフ株式ストラテジスト
井出 真吾氏

 

1993年東京工業大学卒業、日本生命保険入社。1999年ニッセイ基礎研究所、2023年より現職。専門は株式市場、株式投資、マクロ経済、資産形成。新聞・テレビ等メディアへの登場も多数。著書に「井出真吾の投資相談室 63のQ&Aでわかる安心運用」「40代から始める 攻めと守りの資産形成」「本音の株式投資」、「株式投資 長期上昇の波に乗れ!」(いずれも日本経済新聞出版社)等。

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