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“霞が関文学”で読み解く金融界

「地域金融力強化プラン」は逆から読むべし(2)地銀を追い込むモニタリングの多視点化、“北風とインセンティブ”

川辺 和将
川辺 和将
金融ジャーナリスト
2026.01.09
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「地域金融力強化プラン」は逆から読むべし(2)地銀を追い込むモニタリングの多視点化、“北風とインセンティブ”

「地域金融力強化プラン」で金融庁が取りまとめた一連の政策措置のうち資金交付制度に注目が集まったことで、ともするとプラン全体として「インセンティブで事業者を導く」ようなイメージが広がっているかもしれません。しかしプランの中身を見ると、インセンティブ付与(太陽)よりも、むしろルール面(北風)から事業者に対応を迫ろうとする措置が多く目につきます。

いわき信組問題の余波、資本参加先外にも

金融庁は今回のプランで、地域金融機関全体に対するモニタリング機能を強化する方向性を打ち出しています。「モニタリングの強化は窮地に陥って公的資金の注入を受けた一部の資本参加先に限った話ではなかったか」と意外に感じる向きもあるかもしれません。

資本参加制度の延長論を既定路線的に議論する過程では、いわき信用組合の不祥事を踏まえ、資本参加の申請があった際の審査を厳格化し、制度適用後も資本参加先のモニタリングを強化する必要があるといった議論の流れがありました。しかし最終的に取りまとめられたプランの本文では次のように、資本参加制度の活用有無にかかわらず、全ての地域金融機関を対象としたモニタリングを一層強化する方向性を示しています。

「(前略)資本参加先以外の地域金融機関のモニタリングにおいても、金融仲介機能の発揮は重要なテーマである。地域金融機関の金融仲介機能の発揮は、取引先との良好なリレーションがあってこそ成り立つものと考えられ、職員の目利き能力の向上も含め、経営において取引先の事業の継続性や将来性を見極めてしっかりと支援できる態勢の確立に取り組んでいるか、経営管理態勢やリスク管理態勢等の検証(深度ある対話)の中で確認し、一層の取組を促していく。このように、法令等遵守のみならず金融仲介機能の発揮の観点から経営管理態勢等の強化を図ることは、地域金融機関の企業価値向上にもつながるものである。また、金融仲介機能の発揮の観点からも、多様な投資家との建設的な対話が有益であることから、地域銀行における株主構成や投資家との対話状況等についてフォローしていく」

「深度ある対話」の具体的な着眼点を示すように、プラン策定の直後、金融庁は監督指針改正案を公表しました。この中では、M&A、事業承継、デジタル化の支援、経営者保証に依存しない融資、人材紹介業務の促進といった論点が提示されています。

大口信用供与、ベンチャーデットも指針改正か

いったんプラン本文を離れ、監督指針改正案のポイントを整理します。

改正案では、顧客企業のライフステージ等に応じて金融機関側が提案することが求められるソリューションの例示を追加。創業・新事業開拓を目指す企業向けには、人材紹介業務による人材確保支援、業務プロセスのデジタル化・デジタルサービスの導入の支援、経理業務の受託、成長段階の企業向けには、先述の人材紹介業務、デジタル化支援業務に加え、M&A支援としてM&A仲介業務、ファイナンシャルアドバイザー業務と事業統合作業支援等が追加されています。

このうち、M&A支援については、注釈で「専門的な人材の内部育成(外部機関等での研修や派遣等の機会の活用を含む)や、ノウハウを持つ外部人材の採用、外部専門家・外部機関等との連携(他の金融機関等との連携によるプラットフォーム組成・運営や既存プラットフォームへの参画(・活用を含む))などを通じた体制整備が重要と指摘しています。

今回の監督指針改正案には含まれていませんが、プランでは同一グループ内の兄弟銀行間等における大口信用供与規制についても「監督指針の見直しの検討を進める」と明記。また、ベンチャーデットを含む融資類型について、金融検査・監督の具体的な考え方を検討すると記載されています。

デジタル化に関しては、プラン本文の方で「地域企業と地域金融機関のデータ連携を進め、金融機関におけるデータ利活用につなげていく」「企業と金融機関との間でのデータ連携の高度化を図るべく、国際規格への準拠や様々な決済形態への対応について、関係省庁と連携しつつ検討を進めていく」といった方向性も打ち出しています。

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著者情報

川辺 和将
かわべ かずまさ
金融ジャーナリスト
金融ジャーナリスト、「霞が関文学」評論家。毎日新聞社に入社後、長野支局で警察、経済、政治取材を、東京本社政治部で首相官邸番を担当。金融専門誌の当局取材担当を経て2022年1月に独立し、主に金融業界の「顧客本位」定着に向けた政策動向を追いつつ官民双方の取材を続けている。株式会社ブルーベル代表。東京大院(比較文学比較文化研究室)修了。
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