人気のインド株ファンドはアクティブ型が主役
インデックス商品はETFで「投資しやすさ」を追求
足もとのインド株ファンドの売れ筋はアクティブファンドが中心です。2024年1~6月におけるインド株ファンドの国内資金流入額ランキング上位10本のうち、1位の「HSBC インド・インフラ株式オープン」をはじめ9本をアクティブ型が占めています。電力・交通インフラや一般消費財といった、人口増加の恩恵を受けつつ景況に左右されにくいセクターに投資するタイプがほとんどです。
他方でインデックスファンドで10位以内に名を連ねているのは、大和アセットの「iFreeNEXT インド株インデックス」(6位)の1本のみです。このファンドはNifty50に連動し、信託報酬は0.473% (税込・年)となっています。20日に上場した「iFreeETF インドNifty50」は、いわば「iFreeNEXT インド株インデックス」のETF版にあたり、信託報酬は0.385%(税込・年)です。
Nifty50とは、どういう指数か
そもそもインドを代表する株価指数は、インド国立証券取引所のNifty50のほかにも、ボンベイ証券取引所のSENSEX30が知られています。どちらもTOPIX(東証株価指数)と同様、時価総額加重平均型の株価指数です。構成銘柄の時価総額やセクターの傾向に目立った差はありませんが、Nifty50のほうが銘柄数が多いだけ分散が効いています。
Nifty50のセクター構成比率は、上位から金融サービス(33%)、情報技術(14%)、エネルギー(12%)となっています。たとえば資本財や素材などの銘柄が半分を占める「HSBC インド・インフラ株式オープン」などと比べると、Nifty50に連動する商品は現地の金融・IT企業の成長をより多く取り込んでいるといえます。
インドの証券税制がもたらす影響
20日に上場したiFreeETF インドNifty50について、大和アセットは「現物のインド株式に投資する国内初のETF」と銘打ち、現物株を投資対象に含めていることをことさら強調しています。これまでに上場した他社のインド株インデックス連動ETFは、現物株ではなく全て先物取引に基づいています。
なぜこれまで、インドの現物株に投資するシンプルなETFがなかったのでしょうか。背景にあるのが国際税制のルールです。日印両政府は租税条約により、日本からインド株に投資した場合のキャピタルゲインへの課税権をインド側に認めています。したがって、インド株投信やETFの構成銘柄を入れ替える際には、その都度インドのキャピタルゲイン課税のコストがかかってしまいます。これが現物株取引でなく先物取引であれば、インドのキャピタル課税の対象外になるだけでなく、構成銘柄ごとの保有状況を管理する手間も省けます。しかし一方で、先物の需給によっては指数との乖離が大きくなって「指数連動」ではなくなってしまう恐れがあります。
その点でiFreeETF インドNifty50は、先物と現物株の両方にバランスよく投資することで、それぞれのメリットを生かしつつデメリットの低減を図っているのが特長です。
世界経済におけるインドの存在感の高まりに合わせて、インド株ファンドの人気にも拍車がかかるかもしれません。インドの政治・経済の動向は、預かり資産業務に携わる方が押さえておくべき予備知識になりつつあります。