政府は2024年1月にNISAを恒久化し、その投資枠を年360万円に拡大する。自民党税制調査会(税調)のメンバーや公明党からは「富裕層への優遇になる」との慎重論が相次いだなか、元JPモルガン証券副社長で自民党財務金融部会長の中西健治氏らが制度を拡充する必要性を力説し、与党内の方向をまとめた経緯があった。その中西氏が党内論議を振り返り、新NISAが日本の金融市場に及ぼすインパクトについて語った。
――NISA改革への熱意は永田町随一とも言われます。
政府が「貯蓄から投資へ」と唱え続けても、なかなか「笛吹けど踊らず」の状況から脱せず、忸怩(じくじ)たる思いでした。私が金融から政治の道へと進んだ2010年ごろは、日本の個人金融資産の規模が1500兆円ほど。その後も右肩上がりに増えてゆき、新型コロナ禍で消費が低迷した影響もあって、現在では2000兆円を突破しています。そのうち半分が預貯金で占められているのは、日本にとって「もったいない」と言わざるを得ません。