休日の朝、祐子は洗濯物を干すためにベランダから庭へと出た。空はよく晴れていて、洗濯物を干すのには絶好の天気だった。祐子は洗い終えた衣類を1枚ずつハンガーに掛けていった。

この家に住み始めたのは娘を産んで間もない24歳のときだった。それからちょうど24年が経ち、数年前には娘も立派な社会人になって家を出ていった。家族で過ごした日々を思い返すと、時間が経つのは本当に早いものだと感じさせられる。祐子にとって、家はただ生活する場所ではなく、家族との思い出が詰まった大切な場所だった。

母との買い物を楽しむ休日

洗濯物を干し終えてから祐子は急いで身支度を始めた。母の春枝と出かける約束をしていた。実家までは祐子の自宅から車で20分ほど。家の前に車を停めると、待ち構えていたように玄関から出てきた春枝が助手席に乗り込んできた。

「いつもありがとうね」

「いいのよ」

そう答えながら祐子は春枝の服装に目を向けた。

淡いピンクのブラウスに白いパンツを合わせて、首元には小ぶりのネックレスをつけている。肩には上品な革製のバッグを掛けており、足下の靴も服装に合わせたものを選んでいる。髪もキレイに整えられていて、化粧も丁寧に施されていた。73歳になった春枝だが、とてもそうは見えない。それどころか昔よりも若々しくなったと祐子は思っていた。

「そのブラウス、見たことないな。いつ買ったの?」

「先週、向かいの千絵さんと買い物に行ってね。そのときに買ったのよ」

「へぇ、似合ってるよ」

祐子が褒めると春枝は嬉しそうに目を細めた。昔は好きな服も買えなかった春枝が今ではおしゃれを楽しんでることがとても嬉しかった。

「ふふ、でもこんなのがお父さんにバレたら怒られちゃうわ。多分、天国でカンカンよ」