「65歳になれば年金が増える」夫を亡くして20年、64歳女性の期待

地方都市の一戸建てに暮らす田中和子さん(64歳・仮名)は、派遣社員として働きながら一人暮らしをしています。

夫が亡くなったのは、今から20年前。和子さんが44歳のときでした。

当時、夫は会社員で、和子さんは家事と子育てを中心に生活していました。

突然の夫の死によって生活は一変しましたが、遺族年金や生命保険金を頼りに、何とか3人の子どもを育て上げました。

末っ子も数年前に独立し、現在は3人ともそれぞれ家庭を持っています。孫にも恵まれ、休日には子どもたちが遊びに来ることもあります。

夫が残してくれた築30年が経過する自宅で暮らしているため、家賃や住宅ローンの負担はありません。

現在の和子さんの給与収入は年間約250万円、夫の死後は派遣社員として働くようになりました。

これに加えて、夫の死亡による遺族厚生年金として年間約95万円を受け取り、合計すると年間345万円ほどの収入があります。

一人暮らしとしては決して少ない金額ではありませんが、税金や社会保険料、日々の生活費を支払うと思ったほど余裕はありません。

それでも、和子さんは65歳から受け取れる公的年金を楽しみにしていました。

「もう十分働いたし、そろそろ仕事を辞めてパートでもしていたい」

長年、仕事と子育てを両立させてきた和子さんですが、最近は体力の衰えも感じており、65歳になったら仕事を辞め、のんびり暮らしたいと考えていました。

以前に生命保険の担当者からは65歳になれば、今受け取っている遺族厚生年金に加えて自分の老齢基礎年金も受け取れると聞いていました。

現在受け取っている夫の遺族厚生年金は年間約95万円、そこに自分の老齢基礎年金が加われば年金収入は年間175万円以上、月で割れば14万円以上。

「持ち家だから家賃もかからないし、贅沢をしなければパートで収入を得られれば何とか暮らしていけるでしょう」

そう考えた和子さんは、65歳を迎えるタイミングで仕事を辞めることにしました。ところが、思わぬ誤算が……。

ねんきん定期便を見てもわからない受給額

誕生月の前、年金請求書が手元に届いた和子さん。

ふと気になって以前届いていたねんきん定期便を見ました。

ところが、老齢基礎年金の金額は書いてあるが、遺族厚生年金と併せて合計でいくら受け取れるのか、よくわからなかったのでした。

「結局いくら受け取れるの……?」

疑問に思った和子さんは、年金請求書の記入も含め、年金事務所に相談に訪れました。

●65歳を前に年金事務所を訪れた和子さん。そこで告げられたのは、思いもよらない年金額でした。後編【「これじゃ辞められない」増えた年金はわずか20万円…64歳女性が見落としていた、遺族年金の"65歳の壁"】で、和子さんの誤算の理由に迫ります。

※プライバシー保護のため、内容を一部脚色しています。