資産運用を始めた弟

一方、弟の寛人さんは、まったく違う選択をしていた。

彼は慎重だった丈雄さんとは異なり、相続した頃からNISAやiDeCoなどの資産形成制度に興味を持っていた。

寛人さんはまず勤務先の企業年金やiDeCoを通じて資産運用を始めた。その後はNISAを通じて国内外の個別株の売買をするにまでに至ったという。

寛人さんの場合も、丈雄さんと同様に、子どもの進学や車の買い替え、妻の手術など、まとまったお金が必要なタイミングがあった。

そういったタイミングでお金を使ったものの、いま寛人さんが持っている金融資産は2000万円を超えているという。

同じ1000万円を相続したはずが、兄弟で大きな差がついてしまった。

一方は金融資産200万円未満、一方は2000万円超と、何と10倍の差だ。

寛人さんに話を聞いたところ、周囲の投資熱に流されただけで、本人としても予想外の結果だという。

「たまたまだと思いますが、投資をしていなかったらと考えると正直ぞっとします。人生の転換点の1つかもしれません」

人生の転換点というと大げさに思えるかもしれないが、妻子を養いながら貯める1000万円というお金は10年どころか20年かかってもおかしくはない。

そのお金を働かずして築くことができたというのはまさに彼にとっては人生の転換点と言えるほど大きな出来事だったのだろう。

●同じ額を相続したのに兄弟で大きな差が生まれたのはなぜでしょうか。後編【相続した1000万円を数年で2倍に…もらった遺産を2000万円に増やした弟がやっていたこと】では、相続後の財産管理・資産運用について深掘りします。

※プライバシー保護のため、事例内容に一部変更を加えています。