自分よりも若く、収入が少ない恋人に対し、「自分が支えてあげたい」とデート代や生活費を負担する人は少なくありません。しかし、好意からの援助がいつしか当たり前になると、対等であるはずのパートナー関係は少しずつ歪んでいきます。「お金を出すこと」と「愛情」は、決してイコールではないのです。

7歳差の恋と広がる格差

「悪いんだけど、今月の家賃が足りなくて……。また少しだけ貸してくれないかな?」

東京の大手化学メーカーで研究職として働く理沙(33歳)は、スマートフォンの画面に映るメッセージを見て、深いため息をついた。理沙の現在の年収は約650万円だが、貯金額は250万円にまで減ってしまっている。その原因はすべて、画面の向こうにいる7歳年下の恋人・翔太(26歳)にあった。

 

理沙が翔太と出会ったのは、彼女が地方の国立大学の研究室で博士研究員として働いていた29歳のときだった。当時、翔太は同じ研究室に出入りする22歳の学部生。真面目で人懐っこい翔太に惹かれ、2人は自然と交際をスタートさせた。

その後、薄給なうえ、教授の意向どおりにしか研究を進められない状況に理沙は「もっと研究の幅を広げたい」と一念発起。東京での就職を決意する。優秀だった理沙は大手企業の研究職に就き、翔太はそのまま地方の大学院へ進学。2人は遠距離恋愛を続けることになった。

東京で高給取りとなった理沙は、月に一度、新幹線で翔太の住む街へ通った。会える時間は少なかったが、理沙は翔太の存在を心の支えにして激務を乗り越えていたのだ。しかし、この遠距離恋愛と収入格差が、2人の関係を少しずつ歪ませていくことになる。