相続にあたり、遺言書に「一定の結果を残したら財産を渡す」などの条件を付けることがある。たとえば、大学へ進学したら、結婚したら、就職したら、介護をしてくれたら、遺産を譲るといった条件がよくみられる。

ただ、そもそも条件が達成不可能なものだった場合はどうなるのだろうか。

今回は、祖父が孫に「就職していれば100万円を遺贈する」と遺言書に残していたものの、祖父が亡くなった時点でその孫はすでに死亡していたという事例を紹介する。

「祝い金として100万円を贈与する」

本題に入る前に登場人物を整理しておこう。

 

・敏郎さん…敏一さんの子で俊二さんの孫

・敏一さん…敏郎さんの父、駿夫さんの弟

・駿夫さん…敏一さんの兄

・俊二…今回亡くなった方で、敏一さんと駿夫さんの父、敏郎さんの祖父

 

俊二さんは生前、遺言書を残していた。
その内容は、俊二さんの財産は、息子である敏一さんと駿夫さんで等分に相続させるというもの。

ここだけ見れば、きわめて分かりやすい遺言書といえる。

ところが、その遺言書には条件が付けられていた。

その条件とは、「孫の敏郎が就職していれば、祝い金として100万円を贈与する」という一文だった。

祖父の俊二さんとしては、孫の敏郎さんが社会人になる節目の祝いを応援したいという気持ちがあったのだろう。

しかし、残念なことに俊二さんが亡くなった当時、孫の敏郎さんはすでに亡くなってしまっていたのだ。
敏郎さんは死亡時、まだ学生で就職していなかった。

つまり、遺言書に書かれた「敏郎が就職していれば」という条件は、満たされていないことになる。
また、当然だが、今後その条件が満たされることはない。普通に考えれば、敏郎さんへの就職祝い100万円は発生しないことになる。